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物語の物語 おまえは誰?

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 物語。その最大の要素でありながら黒子として物語の中にぼんやりと消えていくのが語り手(作者)の存在です。
 たとえば、歴史的事件を元に描くとしても、「おまえはその時、どこにいた?」となってしまう場合があります。生まれてもいない。さらに「語る資格」を問われることがあります。「おまえが言うな」というやつです。
 物語を語るおまえは誰なの?となります。
 ですが、世の中、小説家、物書き、落語、講談ばかりではなく、物語を演じる、語る人はたくさんいます。私も大好きな怪談もその一つですね。
「先日、私の友人から聞いた話なのですが」とか「数年前、ここでは名を伏せますが有名なタレントさんが経験した話で……」といったように、冒頭近くで、その話の素姓を述べたりすることもあります。
 これは物語と語り手の距離感を表していて、実際に友人から聞いたのか、タレントが経験したのか、その友人って誰だ、タレントはなんというやつだ、といったことはあまり関係がないのです。
 要するに「自分が体験したわけではない」「自分がこしらえた話ではない」と言いたい。それだけであり、実はそこにも怪談の怪談らしさがあるのです。誰が体験したのか、誰から聞いたのか、定かではない。その怪しい雰囲気は怪談にマッチします。
 ある本にマニアックな人がガッカリした話が出ていました。その人の性癖にとてもピッタリで夢のある作品を読んで、てっきり作者も自分と同じ思いを抱いているのだろうと決めつけてしまったのです。その後、その人は著者に会って話をしたところ、自分と同じ性癖がないらしいと知ってガッカリしたそうです(『マゾヒストたち』松沢呉一著、44ページ)。
 私自身、自分の性癖や嗜好、経験を物語にのせていくことはありますし、そこからアイデアを発展させていくこともあります。ですが、物語化すると、それはすっかり別物に変化しているものです。とても自分の存在は小さくなっていき、自分のことなんてほとんど残っていないのです。
 みなさんも、今朝見た夢を誰かに話すとき、正確に見たままを話すことはまずないはずです。話をしていて、どこか曖昧な部分、しっくりこない部分にぶつかって、そこを置き換えたり別の表現にしたり、あるいはカットしてしまうこともあるでしょう。恥ずかしくてストレートに語れず、表現をすり替えることもあるでしょう。
 結果的に、あなたの夢の話を聞いた人たちの中に残る物語は、あたなが見た夢とは違ってしまいます。
 こうして物語は、たとえ「友人から聞いた」にせよ「あるタレントが体験した」にせよ、物語化したときには、かなり大幅に変化してしまっているはずです。
 たとえば私が月の裏側で出会った奇妙な人物のことを物語としてみなさんに提供したら、さすがにこれは私の体験ではないことはおわかりになるでしょう。
 でも、新宿三丁目駅の改札を出たところで出会った美しい女性の話をしたら、どうでしょう。あたかも体験したような物語になっていきます。
 月の裏側の話をしたかと思えば、新宿三丁目の美女の話をする。そういうヤツなんだ、と認めていただけたときに、ようやく「おまえは誰?」が薄くなっていき、徐々に黒子となって闇に溶けていくことができます。
 噺家、講談師、怪談の語り手、そして小説家や物書きは、「そもそも、体験していないことを、おもしろおかしく語る人」とみなされていくので、当人の体験や嗜好、性癖よりも、語る内容が重視されます。
 物語を語るときには、このようにいかに語り手を埋没させて物語を浮き上がらせていくかがとても大切なことになっていきます。
 その点で、いくつかの雰囲気の違う物語を用意することも大切ですし、物語以外のところ(たとえばこのコラムのようなものとかブログとか)で語り手自身のことをちょくちょく露出させていくのも手でしょう。
 このとき、物語の語り手として、一番大切なことはなんでしょうか。著者のあり方、パーソナリティとは? 正直でいること? まじめに取り組んでいく姿勢? 信用? 
 いえ、そんなまともな価値基準じゃないのです。物語というのはウソをつき、不まじめなことも平気でし、信用のまるでない人物についても語ることがあるので、こうした一般的な基準では測れません。
 物語の語り手として、もっとも大切なことは、愛嬌ではないでしょうか。
 愛嬌といってしまうと、あまりにも曖昧なのですけれども、「しょうがねえな」と許していただけるような存在であること。私はそれが大事だと思っています。
 どのような物語でも、ある人にはウケ、ある人にはウケない。ある人は喜び、ある人は困惑し、ある人は嘆き、ある人は怒る。
 物語のどの部分が聞き手にどのように作用するのかは、語り手としてはしっかりコントロールしたいところなのですが、聞き手に委ねる以上は、あとから弁明できないものです。
 そう感じてしまったなら、ゴメンナサイ。ということです。
「この物語はお好きではなかった。それは残念。では、こういうのはいかが?」とやるのが語り手です。この気に入ってもらえなかった物語を放り出し、別の物語を厚かましくもさらに聞いてもらおう読んでもらおう見てもらおうとする行為。これが許されるとすれば、それはもう、愛嬌としか言いようがないのです。
 では、どうすれば愛嬌ある語り手となれるのか。こればっかりは、私にもわかりません。結果的に、愛嬌のある語り手が残っていくのではないでしょうか。
 ただし愛嬌というのは、誰からも好かれるということではありません。おちゃらけている必要もありません。
 たとえば、名人と言われた六代目の三遊亭圓生。端正な顔断ち。誠実で風格ある語り口。怪談から廓話、滑稽ものなど幅広い古典落語の演目をみごとに演じ、自分に厳しく芸に厳しく弟子に厳しい。他の落語家にも厳しい人だったと言われています。
 そんな人なんですが、ケチだと陰で言われていたり、弟子が自分より高い料理を頼むと叱ったり、ダジャレを弟子が笑わないと怒ったり、とにかくマジメで厳しいからこそ、人間的なエピソードもあって、なんだかそういうところを含めて愛嬌なんじゃないかな、と思ったりもするのです。
 愛嬌とは、完璧な美しさではなく、どこかに崩れた歪みの見えている状態なのかもしれません。また、そうした歪みこそが、物語を語りたいと思わせる動機になっているのでしょう。

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物語の物語 葛藤の物語

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 こんにちは。あんぷらぐ(荒縄工房)です。「物語の物語」は、SM小説にどっぷり漬かる私が、ほぼ毎日作品を書き続けているときに気づいた、物を語ることの不思議、おもしろさなどを綴っています。とうとう101回目となりました。

 物語は大きく分けて2種類あると思っています。それはちょうど人生に2種類あるようなものです。
 1つは「葛藤」を描く物語。もう1つは「葛藤」を隠す物語です。
 コンフリクトなどともいいますが、ドラマ、物語、脚本など、とにかく登場人物の葛藤がしっかり描かれていなければ成立しません。葛藤をさらに大きくわけると、こんな感じ。

 したいのに、できない。
 できないけど、したい。
 したくないけど、やってしまう。
 自分では気づかないうちに、してしまう。
 自分では気付かないうちに、やり損なう。

 だいたいこんな感じでしょうか。物語は大きくわけると、こうした葛藤の中で生まれ完結します。しかも、こうした葛藤を複雑に絡み合わせて表現することもあるでしょう。
 私たちは生まれてすぐに、なにかしらの葛藤に直面します。
 とはいえ、生まれて来たことに無自覚な人もいますし、自覚している葛藤が、実はそこに本質はなく、別の葛藤こそが本質だった、とわかることもあります。さらに人生とは、いったいなんだったのか、わからないうちに亡くなることもあります。葛藤とか、ぜんぜん意識しなくても人生をまっとうできるのです。
 物語はだから、葛藤を描くことになるわけです。
 ただ、正面から葛藤をわかりやすく表現することだけが物語ではありません。なにも葛藤らしきものが見えてこない作品もたくさんあります。
 レイモンド・カーヴァーの「大聖堂」というとても短い小説があります。この作品における葛藤とはなにか。読者にはよくわかりません。よくわからないままに読み進めます。そして突然、この小説は終わります。
 妻の友人が来ることに妙にナーバスな主人公。その男が自ら語るスタイルです。その友人は盲人で、妻が以前その人のもとで働いていたのでした。仕事をやめたあとも、なぜか2人はテープでの手紙をやり取りしており、お互いにさまざまな日常を共有しています。主人公のこともあれこれテープで送っていたのです。しかもこの盲人は妻のあとに同じ仕事についた女性と結婚し、死別していました。
 明確ではないものの、「そういう人と会うのは嫌だな」と思ったとしても不思議ではありません。主人公は露骨に嫌がっています。主に相手が盲人であることに戸惑っています。とても静かな葛藤が冒頭からはじまっているのです。ただこの葛藤、読者全員が納得できるものではないでしょう。だから、葛藤なのかどうかさえ、あまり意識することなく読み進めていく。
 この作品はただ、その人がやってきて一緒に食事をし、酒を飲み、大麻を吸ってテレビを見る。タイトルの「大聖堂」は、一緒になんとなく見ているテレビに映し出されています。盲人には見えません。見えない人とテレビを見る。そのうち大聖堂を説明することになり……。
 この物語の最後の最後に、主人公に起きることとはなにか。この物語はそれをわかりやすく描くことはしていません。結果的に、この物語に存在したこの男の葛藤と、それがどう解決されていったのか。それは、読者の解釈に委ねられています。
 ひとつの解釈として、「盲人」の漠然としたイメージだけで主人公は嫌っていたし、妻と自分が出会う前からずっと日常を共有していた人物への嫉妬と苛立ち(葛藤)があったけど、それが突然、まったく違う次元に開かれて解消されていくのです。見ていたものより見えていないものの価値に気付く、なんて大げさなことまでは言わなくてもいいでしょう。教条的な作品ではけっしてないので、むりに「教え」として受け止める必要はないからです。
 単に大麻でラリっているだけかもしれません。
 だけど、読者はなにかを感じるのです。またはなにも感じないのです。この著者は、強要しないので、読者は自由でいられます。なにも感じなくても大丈夫です。
 これをわかりやすくするために、主人公にそもそも過去で盲人とトラブルがあった、といった設定にするとか、妻との間でさまざまな不協和音があったといった物語にする方法もあるでしょうし、この作品がカーヴァーのものと知らずに読んだら(そして村上春樹が翻訳していると知らずに読んだら)、いろいろとツッコミを入れたくなるに違いありません。
 物語は書く側も読む側も、それぞれに別の日常があり、別々の葛藤があり、なにも共通点はありません。妻と盲人がテープで日常を共有していたのと同じように、たまたま物語(作品)を通じて少しだけなにかを共有するだけです。
 冒頭に戻ります。
「葛藤」を描く物語と「葛藤」を隠す物語の2種類があります。カーヴァーのように、いわば生きている者なら誰しも当然に持っている葛藤については、ことさらそれを葛藤として表現しなくてもいい、とも言えます。
 一方、エンタメ作品としてより幅広い人に向けて発信するときには、冒頭で葛藤を明確にしておかなければいけないのです。
「有名」になりたいけど、いまはなれない。どうやってなろう……といった物語。「有名」だけではなく「金持ち」、「成功者」などでもいいですし、もっと身近に「いい親になりたい」「好きな人に振り向いてほしい」「結婚したい」とかもありでしょう。
僕はどこから」では、認知症の母のために大金が必要だが、それを稼ぐ方法がない、という葛藤が冒頭に提示されていました。
 朝ドラはだいたい葛藤の連続です。
 ミステリーが強力なエンタメなのは、最初から葛藤が存在しているからです。犯人を見つけたいのに手掛かりがない。動機がわからない、などなど。さらにそこに、主人公の葛藤(能力が足りない、時間が足りない、人間としてのなにかが足りないなどなど)を組み合わせていく物語となります。
 恋愛も同様です。最初から葛藤があるのでわかりやすいですね。
「葛藤」を描く物語と「葛藤」を隠す物語の2種類があるとして、どっちがいいのか、を語るのは不毛です。どのような葛藤を備えた物語であっても、また巧みな葛藤の設定をした物語であっても、物語が読者にとって大切なものとなるかどうかは、別の話だからです。あざとい葛藤の設定で引きつけたって構いません。その物語が心に残る、または誰かの心を動かすことができれば、最高の物語となるのです。

(協力:エピキュリアン 鼻フック アルゲマイネ



★『隷徒3 母娘の章』★
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シリーズ3作目。隷徒となった姉妹。その母の過去が明らかになり、母娘は暴虐の渦に突き落とされる。表紙とイラスト1点・月工仮面。


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シリーズ4作目。最終章。サディスティックな新任教師栄子。その実態は……。さらに栄子と聖香は荒縄学園のライバルである黒穴女学園へ潜入。悲鳴とあえぎ声、そして阿鼻叫喚の結末へ。


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物語の物語 語り手の自信

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 こんにちは。あんぷらぐ(荒縄工房)です。「物語の物語」は、SM小説にどっぷり漬かる私が、ほぼ毎日作品を書き続けているときに気づいた、物を語ることの不思議、おもしろさなどを綴っています。

 物語を語るときには、語り手はある程度の「自信」を持っていなければうまくいきません。落語家、講談師など練習と研鑽を積んで高座に上がり、ある程度の自信の上で披露することになります。
 あらゆることには、理由があります。物語の上手下手、語り口の善し悪しは、結局は見えない部分でなにをしていたかによってくるのは仕方がないことです。
 ある程度の自信。ほどほどの自信。それがちょうどいいのではないか、と思ったりもします。絶対的な自信は必要ないのです。
 それは自動車の運転に似ています。
 毎日クルマを使う人にとって「今日は自信がある」と思う日などないはずで、あるとすれば「今日はちょっと不安」でしょう。二日酔いとか、天気が悪いなどによって「いつもと違う」ことによる不安ですね。
 物語を常に語り続けていると、ちょっとこの自動車の運転に似ていて、「今日はどうかな」といった不安こそありますが、自信を確認することはまずありません。
 なぜなら、物語を常に語り続けている者は、24時間、脳の片隅に物語が常駐しています。音楽でもそうですが、おそらく音楽大好きで自ら歌ったり演奏する人たちは、自分の中から音楽を締め出すことの方が難しいはずです。
 物語も同じで、語り続ける人にとっては、それが当たり前となります。自分から物語を締め出す必要はなく、いつも一緒です。これが、いわば「ほどほどの自信」だと思うのです。
 もちろん、走り出してみたら、いつもの道路状況と違う、あまりにもなにか変、といった事態もあり得ます。不安が大きくなっていきます。最悪のとき、目的地までいかないうちにリタイアすることもあるでしょう。
 まだそこまで物語が脳内に常駐していない人は、こうした事態に陥りやすい。そして「やっぱり構成をしっかり作らないと」とか「プロットを練らないと」とか思うのですが、結果的に構成やプロットの時間が増えて、物語に取り組む時間は減ります。ペーパードライバーのような感じになっていきます。
 はじめてのドライブデートのときなどは、たぶん、予め計画を練るはずです。「ここで高速に乗って、渋滞していなければここまで行って、渋滞していたらこっちへ行って、そうだ、ここにいいお店があれば寄りたいよね」といったプランですね。綿密に立てる人もいます。
 でも、仲良くなった人と「どっか、ドライブ行こうか、天気いいし」となって急に行く場合は、これまで運転してきた経験の上で、ほどほどの自信を持って、とにかく「あっちに行ってみっか」となるはず。
 常に物語が頭の片隅に居座っていると、そんな感じです。
 物語を止めないこと。続けること。それによって、「ほどほどの自信」を身につけるわけですが、そのときには脳内で、「こういうときはこう」といった何手も先のことを想像する力が身についています。
 適当に海に向かってドライブをはじめたけど、混雑しているので途中で曲がってアウトレットへ行く、といったことが可能です。それでもちゃんと楽しくて満足できるドライブにできてしまう。
 落語家、講談師なども、物語を完璧に身につけていても当日の会場の雰囲気、客の反応によっては変化を余儀なくされます。そこで立ち往生しないためには、数手先を読める力が必要で、それはペーパードライバーではいつまでも身につきません。
 私の場合で恐縮ですが、プロットや構成は頭の中で練ります。「こういう物語だったら進められるんじゃないか。おもしろいんじゃないか」と考えて、実際に軽く運転、つまり物語を書いてみます。
 それはもうプロットとか構成ではなく、その物語で描きたい場面だったり、セリフだったりします。そこから、必要な登場人物、その性格、背景へと思いをはせていきます。このとき、コントのようにできるだけ少人数の登場人物で考えます。二人、三人ぐらいですね。
 どれだけ長い作品でも、私の場合は中心になるのは一人か二人ですから、それ以上の人数は背景に溶け込んでしまいます。いくら造形しても生かせない可能性があります。とはいえ、漠然とは考えてはいますけども。話が進んでいくうちに、必要になる場合もあるから。
 こうしたキャラクターは自分の好きなタイプというよりは、まだ描いていないタイプから探すことが多く、なぜなら、そのほうが語り手としてはおもしろいからです。
 最近遠ざかっていた人妻主人公の作品を、たまたま2作、いま同時に連載しています。「タワマン」と「許諾ください」です。
タワマン」は三人称で、ユキと沖田がメイン。中でも元女子アナで夫の沖田に以前から調教を受けていたユキの視点を中心として描きます。
許諾ください」は、隣りのマンションに住む女子大生でエロ漫画を描く美和に目をつけられた人妻・奈々恵がメインで、彼女の一人称で描かれています。
 どちらも、私の中では「正統派」のSM小説をイメージしており、じわじわといたぶるように話が進みます。
 ユキはとてもクールな主人公で、おそらくこれまであまり描いていないタイプ。奈々恵は自分というものがなく漂うタイプ。美和が無表情でクールな存在で、ユキに似たところがあるものの彼女は自分ではなにもしません。マンガを描くことが彼女の生き方なので。
 今回はたまたま同時期に連載となりましたが、冷たい人をメインにしながら「タワマン」はそれが外に向けて広がっていくのに対して、「許諾ください」は内に向っていきます。
 物語を発進させるとき、この段階では「このまま行けるところまで行こう」といった感じで、スタートできるだけの「ほどほどの自信」を持っています。それしかない、といってもいいでしょう。
 漠然とルートや目的地、そこで見ることのできる景色を考えてはいるものの、本当にそうなるのか、絶対的な自信まではありません。
 絶対的な自信が持てるところまで完成させてしまうと、もはや物語を書く意欲がなくなってしまうからです(私の場合ですが)。とてもつまらない作業となり、苦しすぎます。
 楽しくないと続けられないので、私としては物語を語ることは、楽しくなくなったらもうできないでしょう。だから、むしろ楽しむために、細部まで詰めすぎない。自分もワクワクしたい。ワクワクしながら読者のみなさんと一緒にドライブしたいのです。
 落語家も講談師も、おそらく客席と一緒にドライブすることで物語を完成させていくはずです。
 ということで、語り手はまったく不安ばっかりで自信ゼロでは困難ですが、ほどほどの自信を持ってスタートできればいいのではないか。そんな気がしています。
 なお手元の原稿では、この「物語の物語」が通算百回目を迎えました。これほど続くとは思わずにはじめたのですが、「これなら書き続けられそうだな」とほどほどの自信でスタートしたのがよかったのかもしれません。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

(協力:エピキュリアン 首輪ブルースピネルと栓付き開口マスク、フェイスクラッチバンド



★被虐の街★

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人妻・杏奈は小遣い稼ぎのビジネスに失敗、借金が返済できず自らの肉体をオークションにかけ、4人から出資してもらい返済する。その代償として8日間、彼らのいいなりとなる。徹底した被虐調教に杏奈は身も心も闇の世界へと沈んでいく。



★M妻佳乃の崩壊★


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女性が自ら語る被虐体験。それは盗撮からはじまり、契約によってあらゆる行為を強いられていく。夫と別居をはじめた元ミス・キャンパスの佳乃は、夫との軽いSMプレイから、被虐に目覚めていた。その思いから、見知らぬ男の誘いを受け、暴力と残虐の世界に踏み込んでいく。人妻が暴力と残虐の世界をさまよう。



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媚薬浣腸でう○ちおもらし。 肛門から直吸収した媚薬が効きすぎて 発情しまくったひよこ女子をそのまま3穴●す
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物語の物語 語り手の気負い

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 こんにちは。あんぷらぐど(荒縄工房)です。「物語の物語」は、SM小説にどっぷり漬かる私が、ほぼ毎日作品を書き続けているときに気づいた、物を語ることの不思議、おもしろさなどを綴っています。

 多くの作品をネットで読むことのできる今日。その多くは学生であったりアマチュアであったり趣味なのでしょうが、私は読む側としてはプロとアマを区別していません。区別する必要はないからです。どちらも日本語で、語り手の熱い気持ちが前提としてあるはずだからです。技術とかなんとかは、あまり気になりません。それは私自身がそうだからでしょう。
 饒舌な語り手もいれば、訥々とした語り手もいます。慎重な語り手もいれば大胆な語り手もいます。それは技術というより個性でしょう。
 ただ、プロとアマの大きな違いを感じるのは、第一に編集者・校正者・校閲者などのスタッフの力ですが、つぎに語り手個人の姿勢として気になるのは「気負い」でしょうか。
 語り手は誰だって、自分が一番おもしろい物語を語っていると信じています。私だってそうです。
 これが気負いとなって空回りしていくのか、それとも作品世界にしっかり噛み込んで読者をひきつけていくのかは、正直、私にもどうしてそんな差になるのかはわかりません。いろいろ仮説は思いつきますが、自分のことでもあるので技術的にはわかりません。
 気負いをともなった書き出しによって、読者も意気込みが高くなっていくとすると、その後の展開によってはガッカリする可能性も出てきます。
 気負いと掴みは違うんだろうなってことですよね。
 物語の書き出しで「これからすげー、おもしろい話を書くよ」と宣言しちゃうのはかなり怖いし、読者はそこで引くかもしれません。その後の展開しだいでは「ふざけるな」と怒りにさえつながる可能性もあります。そうでなくても「なんか違う」とか「がっかり」につながりやすいかな。
 だからといって「つまらない話なんですけどね」とへりくだったからといって、その後の展開によっては、同じ結果につながります。気負っても、へりくだっても、おもねっても結果が同じなら、語り手はどうすればいいでしょうか。
 それがわからない。わかるようでわからないのです。
 以前に物語は終わるべくして終わるから、書きはじめちゃってもぜんぜん心配いらないとこのコラムで書いたのですが、結果から振り返ると、書き出しも同じで、物語にはそれぞれふさわしい冒頭があるみたいです。
 みたい、と言うのは、このあたり、なんとも言えないんです。正解がないから。
 ただ気負っているときには、その後の展開のリズムとは違う特別な雰囲気の語り方になっているかもしれない。その点だけは注意したほうがいいだろうな、とは言えます。
 イントロの長い曲はいまいちですが、素晴らしいイントロの曲はやっぱりカッコいい。イントロだけで燃える。グッとくる。
 ということは、物語の書き出し部分にも言えるのでしょう。ポップスやロックと違って、短編であっても物語はちょっと時間的には長いのと情報量がとても多いので、その点では交響曲とかに似ているかもしれません。
 となると、最初にすべきは第一のテーマを提示することです。気負ってもいいし、へりくだってもいいけど、そこにその後に続くテーマが最初から含まれていれば、比較的すんなりと物語の世界に入ることができるんじゃないかな、と感じています。
 だからテーマが出て来ない前説的なイントロはバッサリ削ってしまえばいい。
 このテーマというのは、物語が動きはじめて気付くこともあるので、気負いながらどんどん書きはじめて、あとで最初の原稿を削っていけばテーマが明確になっていくかもしれません。このあたり曖昧なのは、実際にはケースバイケースで必ずそうなるとも言えないからですが……。
 この秋のドラマで大好きだったのが「俺の話は長い」でした。
 三十一歳のダメ男(ニート役を生田斗真が好演)が主人公で、母が経営する喫茶店を手伝うでもなく、自分のやりたいこと、やるべきことが見つからず模索し続けているのですが、とにかく屁理屈だけはすごく、そこに新居が出来上がるまで実家に戻ってきた姉の一家が関わります。姉は「私がいる間に就職させてみせる」と言い(そういう仕事についている姉なんですよね)、バトルが展開されます。
 といった大筋の中で、各回は、30分2話構成のドラマとなっています。このため、エピソードに集中でき、枝葉末節をバッサリぶった切って描くことができます。この各回のエピソードの作り方は、まさに物語のお手本のように巧みに作られていました。
 たとえば「トンカツと占い」(十七話)の見事さ。揚げ立てのトンカツが食べたい。みごとなトンカツが揚がっていくのですが、姉の娘(清原果耶)が突然「高校進学しない」と言い出す。主人公としか話をしないと言うので食べる直前にお預け。頭に来ている主人公は、みごとに彼女を論破します。そこが見せ場の一つですが、そこにタイトルにあるトンカツというテーマと占い(見かけなくなっていた占い師が復活していて当たるか当たらないか)のテーマを組み合わせています。
 見ている側も、おいしそうなトンカツが冷めていく残念さを味わいながら話が進行していくのでこれはいわば時限爆弾と同じ効果を持っています。また占い師は、主人公の迷いというこのドラマに流れている大筋のテーマを動かす一つのきっかけにもなっていて、次のエピソードへの伏線にもなっています。
 毎回の短いエピソードを落語のようにきちんと完結させつつ、全体の物語も少し進ませる。まったく見事な脚本(金子茂樹)。
 こういうドラマでは、イントロは極めて短く、だいたいいきなり始まります。この場合はトンカツを揚げる工程から始まるのです。
 そこには気負いもおもねりもありません。物を語るときに、語り手の気持ちはあまり出てこなくて、テーマ(この物語で伝えたいこと)に直結する描写から入っています。
 だいたいは、こうした率直でシンプルなスタートの方がいいんだろうな、と感じます。
 だけど、やっぱり語り手はつい「これ、ホントにおもしろい話なんですよ」と言いたい。言わないまでもそれに相当するイントロをつけたくなる。そういうもんなんですよね。

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あんP(荒縄工房)著。フツー小説。エロなし。奴隷として生きることを選んだ梨々花は、工藤に買われた。だがその工藤を裏切って破滅させた藤崎に売られてしまう。闇カジノをはじめようとした藤崎を何者かが襲撃。「正義の味方」を名乗る者が現れ、梨々花は血なまぐさい狂気の世界に巻き込まれていく……。



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物語の物語 終わり方の考察

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 こんにちは。あんぷらぐど(荒縄工房)です。「物語の物語」は、SM小説にどっぷり漬かる私が、ほぼ毎日作品を書き続けているときに気づいた、物を語ることの不思議、おもしろさなどを綴っています。

 このコラムは、そのときそのときに書いているのですが、なんとあと2回で100回となります。いま気づきました。
「終わりのある始まり」は2回目に書いたコラムですし、
「物語終わる。でも必ず甦る」は、2013年、荒縄工房がはじまって3年目のコラムです。
 最初から「終わり方」を気にするのが、書き手の根性というかいやらしい部分でしょう。私はお笑いが好きなので、「オチ」をとても重視しますが、それは笑いの世界でのこと。私なりの好きな「オチ」は、余韻の残るものが一番です。ブラックなオチでもいいし、意味がよくわからなくてもいい。余韻として「ああ、おもしろかったねえ」「なんだったんだろうね」としばらく浸れるオチが最高に好きです。
 次に好きなのは突っ込める「オチ」。中でも上位は「これがオチかよ!」と突っ込めるタイプ。次は「ダジャレかよ!」。さらに「うまいな」です。
 このように、私にとっての終わり方は、決してうまければいいわけではありません。
 この価値観は自分の書く作品にも反映されているような気がします。
 私のスタンスは「物語は書き続ければ必ずちゃんと終わる」です。著者の意図した終わりではない場合もありますが、「ああ、ここで終わるんだな」とハッキリわかります。
「官能アドレセンス」が先日、完結したときもそうでした。私の構想ではこの完結したときの段階はいわば「序破急」の「序」が終わったところでしたが、主人公の大空は私が思った以上に成長を遂げましたし、彼女の価値観も作品中で大きく変化しました。このまま続けることはできない、ここで終わるのだ、とはっきりわかったのです。
 また先日、コメントで「被虐の街」の続編はないのか、という質問をいただきました。杏奈という主婦が、自分のビジネスの借金を、女性に優しいと言われている闇金から借りたばかりに、返済のためにマニア向けの市場に自分を売るしかなくなる話です。
 この作品はエンディングで主人公に明確な終わりが来ていません。過酷な返済義務を終えた彼女は、いままで知らなかった快楽に目覚めてもいたのですが、その成長で作品は終わっています。
 私の作品では、明確な主人公の終わりは「死」なのですけれども、ちゃんと死をイメージさせていない終わりもかなりあります。「玩具にしてください」の終わりは、むしろ希望さえあるのです。
 それでも杏奈も菜津希も、完結時にある意味の「死」を迎えているのです。これまでの自分ではなくなること、これから先が見通せてしまったことも、ある意味の死だと物語では表現されるのです。
 荒縄工房での作品群は特殊な世界でもあるので、現実の世界と逆さまになることもしばしばです。救いようのないところまで堕ちたところが「成長」となり、エンディングになっていきます。「官能アドレセンス」はどちらかといえばフツー小説ですので、一般的な主人公の成長で終わっています。新しい世界に踏み込んで、新しい人生、新しい生活をはじめた主人公が明確になったところで完結になるのです。
 破滅で終わる作品であっても、破滅まで描かないときもあります。それは、少しでも「余韻」が残っている間に終わらせたいからです。余韻のあるオチが好きだからです。
 だから「えっ、このあとどうなったの?」が残ってしまうこともあります。それには著者はあえて答えず、余韻のみで終わらせてしまうのは、無責任なようですが、余韻重視と考えていただければありがたいです。
 続編を書くのか、書かないのか。
 私は最初から「続編」を考えるときもありますが、たいがいは「これで終わり。終わりったら終わり!」と完結させています。
 続編を最初から構想していても続編を書けていない作品もありますし、続編をまったく考えていない作品で、続編を書いていることもあります。
 その差はなんでしょう。
 第一に、主人公やメインの人物が完全には消滅していないことが大切です。なおかつ、その人物が「書いてほしい!」と強く思っているかどうか。それが分岐点になります。
 こう言うとおかしな話と思われるでしょうが、私の創造したキャラクターたちは、常に私の脳内を占拠しているわけではありません。連載が終われば、いったん、どこかに消えます。PCやスマホからソフトやアプリを削除するようなものです。
 削除しても履歴は残っていることが多いですよね。あるいはクラウドに残っていることがあると思います。
 ですが、「もういらない」と削除したあとは、通常、よほどのことがない限り、再インストールしようとはしないものです。
 それなのに、脳内に残された履歴かなにかの残像が、無意識に成長して「書いてくださいよー」と言い出すことがあるのです。
 それがたまたま私にとって、新作に手をつけるより魅力的に感じたときには、続編がスタートすることになります。以前のキャラクターを再インストールし、前作で書き切れていない部分を丁寧に掘り起こし、それを続編に生かしていくことになります。
 たとえば、亜由美シリーズの完結編「亜由美 降臨編」では、警官が重要な役で登場するのですが、これはシリーズの中でチラッと登場している警察官なのです。最初からこの人物は主人公たちに関わる設定だったのに、以後、まったく出る機会がありませんでした。すると「えー、私はどうなってるんでしょう」と言い出す。
 このため「亜由美 降臨編」は、亜由美側の「書いてくれ」以上に警官側の「おれをなんとかしてよ」が強かったので生まれた作品と言えます。
 嘘のような話に聞こえるでしょうが、人間の脳内は不思議な作用があります。どんな記憶でもエピソードで記憶することで強く残ると言われています。物語は、エピソードの塊ですので、たとえ創作であってもその記憶は通常の現実に起きたことよりも強く残ってしまう可能性は高いのです。
 さすがに70を超える作品をこの8年間、毎日書き続けてきた結果、私の記憶の大半は荒縄工房の作品なのです。シナプスがそこに常に接続されていて、微弱電流が流れ続けているのです。
 荒縄工房をはじめてすぐに、それに気づいた私は、以後、作品は終わるべくして終わることを続けていて、なんの躊躇いも迷いもないのです。

(協力:エピキュリアン ブレストボンテージ



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※2020年7月14日からは下記の作品を掲載します。
『荒縄工房短編集』
『奈々恵の百日(続・許諾ください)
『お嬢様はドM3(完結編 期間限定Ver)』
『新版 共用淫虐妻・千春(期間限定Ver) 』
『妹は鬼畜系R(期間限定Ver)』
 随時、短編、コラム。
 妄想絵物語(イラスト・月工仮面さん)など。

……

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ペンネーム「あんぷらぐ」
1970年代からのSM小説を読み、書き。「仲ゆうじ」などのペンネームで「SMセレクト」などに小説を書かせていただいておりました。
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2019年「あんぷらぐど」表記から「ど」を取って「あんぷらぐ」へ改名。

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