クソな彼氏に殺されたい 1 おれの拳は愛さ
彼が最初に暴力をふるったのはいつだったろうか──。
ぼんやりと思っていた。
自分の肉が弾ける音を聞き続けてきた。彼の暴力で受けた痣や傷を何度も見返してきた。
こうして彼に殺されるのだ、と思うとゾクゾクしてしまう──。
もしかすると会ったその日から、叩かれたのではなかったか。ぜったいにそうだ。会ってすぐ、京太郎は裕梨奈(ゆりな)にこう告げていた。
「おまえを見ていると殴りたくなる」
息が出来ないほど強く抱き締められ、唇が腫れるほど吸われ、首筋に恥ずかしいキスマークをつけられ、太ももを痣になるほど強くつねられた。最初に彼に抱かれた夜だ。
「どうしてこんなことするの、痛いよ」
「愛の鞭だよ。殴るときも愛なんだからね、おれの拳は愛さ」
「痛いの、いやだよ」
「いいや。おまえは好きなはずだ。おまえってやつは、おれに殴られるために生まれてきたんだ。おれの愛の捌け口だ」
どうかしているな、こいつ。
だから好きになってしまった。
猛烈に好きになってしまい、片時も離れたくなかった。
いまもそうだ。あれから2週間。毎晩のように裕梨奈のアパートに来てセックスをし、怖い目に遭わされてきたけど、そのあとにこうして居酒屋へ連れて行ってくれる。
「おれはお前のこと、大好きなんだよ」
京太郎は強い酒を飲ませようとする。
立てなくなるほど酔っ払わせるのが好きだ。それに応えようと、好きでもないのに、薬のような強い酒を飲み干す。酒で体の中を殴りつける。
「もう飲めないよお」
裕梨奈が泣きじゃくると、京太郎は支払いをすませてようやく店を出る。
ふらふらとした足取り。彼に抱えられるようにして夜道を歩くのは気持ちがいい。仲の良いカップルに見えるだろう。服装はみすぼらしい。いまどきの学生としても、だらしがない。
京太郎に言われて、黒いタイツ、その上にジーンズのホットパンツを穿いていた。十一月の冷たい風をかろうじて守る。下着はつけさせてくれない。ブラもだめで、サイズの大きすぎる男物のTシャツを着せられ、その上から薄いハーフコートを羽織っていた。
店の中でコートを脱げば、乳房の大半が襟ぐりから見えてしまう。京太郎はそうさせたいのだ。じろじろと裕梨奈の胸元を見る酔っ払いたちを眺めているのが楽しいのだ。
「なあ、吐きたいだろ。吐けよ。おれの拳を受ければ簡単に吐けるぞ。おれの愛、欲しいだろ?」
コートを脱がされる。薄暗い路地。
裕梨奈は京太郎を見下していた。どうしようもないクズ。これほどまでにどうかしているヤツと恋愛関係なんて……。
ワクワクするような興奮を覚えていたのだからしょうがない。やっと巡り逢えた理想のクズだから。
「うっ」
腹部に思いきり拳を打ち込まれて息ができず、よろよろと街灯につかまる。
「あっ」
逃がすものかと二発目が左の脇に入った。肋骨が砕けたような鋭い痛みがあった。
冷たい街灯にもたれながら、アスファルトに膝をつく。
そしてゲーゲーと吐く。
「いい気分だろ。な、おれの拳」
「うううう」
声が出なかった。思った以上に大量で酒臭く、そのニオイに気分が悪くなってさらに吐いた。
吐くのは殴られるのと同じぐらい苦しいけど、憐れな裕梨奈の姿を彼が楽しんでくれていると思うとうれしい。いつまでも吐いていたい。苦しみながら、すべてを吐いてしまいたい。
「いいねえ、裕梨奈」
髪の毛を掴まれて、街灯に照らされた顔を写真に撮られた。涎と汚物にまみれた放心状態の裕梨奈。
あっという間にTシャツを脱がされて、裕梨奈のオッパイがポロンと飛び出す。上半身を裸にされた女。
「ハハハハ」となにがおもしろいのか、京太郎は乳房を掴んでゆさぶる。
「いいぞ、裕梨奈らしいぞ。いやらしいオッパイだ」
京太郎はそれだけでは終わらず、そのまま裕梨奈の顔を地面に広がった汚物に押しつけた。
「ぐああああ」
「こんなに汚しやがってよ。おまえ、酔っ払って吐いて、サイテーの女だな」
顔中に吐瀉物をなすりつけられ、アスファルトで軽く擦られた。
Tシャツもコートも返してくれず、夜道を半裸で歩かされる。
アパートに戻ってキッチンで顔を洗うと、何ヵ所かヒリヒリしているので、鏡で見るとうっすらほお骨のあたりに血が滲んでいた。もう一度、水で洗う。
カッコ悪い女にされていく。それが快感だった。
女の腹を殴り、顔に傷をつけても平気な男。
よくある話では、こうしたカッとなるとなにをするかわからない暴力的な男は、突然、優しい面を見せたり、弱さを見せて泣きついたりすることがあるらしい。
ところが京太郎は徹頭徹尾、暴力的で、裕梨奈に対してはそれが許されていると信じ切っている。
どうしてそこまで自信が持てるのか、わからない。
お互い、どこか壊れているのだろう。
2週間、ほぼ毎日、ぶっ通しでセックスをし、どこかを殴られたりし続けたのだが、十一月も終わろうという頃。生理が来たら京太郎はパタッと部屋に来なくなった。
大学で京太郎を探してみても、彼には友だちもなく、大学にもあまり来ないので見つけようもなかった。
4日ほど音沙汰なしで、これだけ肉体関係を持ったのに、どうしてスマホでSNSなどをお互いに交換しなかったのだろうと後悔していた。
あんなヤツ、滅多にいないのだ、この広い東京でも。
嵐のような日々に彼の電話番号を教えてもらう余裕はなく、いつも一緒だったので考えもしなかった。
図書館でレポートの資料を探し、コピーしてアパートに戻ったら、そこに京太郎がいた。合い鍵だけは作っていたらしい。それがうれしくもあり、驚きでもあった。
「裸になれよ。おれがいるときは裸だろうが!」
いきなり機嫌が悪い。
「で、でも」
笑顔が怯えに変わると、京太郎がニヤリとする。
「うるせえよ」
パシッと頭をはたかれた。それだけで裕梨奈は下半身から力が抜けていくような気がしてしまう。たまらない悦び。あそこから淫汁があふれていく。欲しい。彼が欲しい。
勉強道具を放り出して、急いで服を脱いでいった。彼は着用を許してくれないジーパンやセーター、そして下着。
最後の一枚になったとき、ためらいがあった。
「なにしてんだ?」
「まだ終わってないから。汚いかも」
「早くしろ」
「あ、はい」

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