FC2ブログ

メロー・マッドネス 26 彼女がいたの?

前回はこちらへ

 藤崎のカジノも、ワケありの物件を短期に借りて、足がつかないうちに別の場所に移転するやり方だろうと梨々花は見ていた。工藤は、不動産や土地についてはとにかく詳しかった。あの物件もおそらく見つけたのは工藤だろう。追い落とした藤崎はそこをそっくり自分の舞台にしてしまったのだ。
 もっともオープン当日に襲撃されてクローズしてしまったわけだが。
 数軒の民家の庭を抜けて、封鎖されているであろう区画の外に出ることができた。
 規制線を準備している警官たちを、空き屋の庭の柵から見ていたので、間違いはなかった。そこには大勢の野次馬やマスコミが押し寄せていた。
 ほとんどの家が灯りをつけて、玄関先や2階の窓に人が出ていた。
 振り返ると、すでに別邸は炎は見えない。夜でも黒く煙りが出ていることがわかった。数機のヘリがその上空を旋回している。
「迂回してください」と警察がマイクを使って車の誘導をしている。
 検問はさらに大きな同心円で展開されているだろう。
 これで苦労するのは、たった2人の藤崎たちではなく、あそこを襲った連中だ。
 比較的明るい、駅に向かう一本道に出た。
「血が……」
「大したことない」
 藤崎は左の腕か肩のあたりを負傷しているようだった。袖が血で黒ずみ、左手は血だらけだった。それを押さえたらしい右手もだ。
「重いから全部は持てない。荷物を一つにしたい」
「どこかに隠れないとできないです」
 お土産を大量に買った観光客ではあるまいし、道端で銃や弾丸を広げて荷物の整理などできるはずがない。すぐ通報されてしまうだろう。
「なぜ、あれを取りに戻ったんだ」
「すみません」
「あんなもの」
 不気味な男の手。梨々花はそれをバッグに移していたのだ。彼女は勘で、持っていくべきだと思った。ただそれだけだった。
「まさか、連れていってくれって、手が言ったとか、そういうんじゃないだろうな」
「怖いんですか?」
「ふざけるな」
 確かに、気持ちは悪い。誰のものかもわからない。
 ただ、梨々花は最初にそれを掴んだときから、妙な親しみを感じていた。
 叩かなければチャンスは二度と来ない──。
 すべては長谷部が仕組んでいると思っていた藤崎と梨々花だったが、別邸襲撃そして路上急襲は長谷部とは別の組織によるものだと感じていた。もし長谷部がそこまでする力を持っているのなら、もっと賢く使ったに違いない。別の組織は、物事を隠蔽し静かに葬り去ろうなどとは思っていない。できるだけ派手に、世間の耳目を集めてもいいと思っているようだ。
 長谷部を追う藤崎と梨々花は、まるでそんなイカレた考えの連中の標的とされているようだった。
「ちくしょう、うるせえな」と藤崎はスマホを取りだした。
「もう位置はバレてるからいいか」
 電源を入れた。画面にザーッと流れるメッセージ。電話やメールやメッセージが大量に流れ込んでくる。
 その中から伝言をいくつか聞いた藤崎は、コールバックした。
「なにをグズグズしてるんだ!」
 いきなりの怒鳴り声。梨々花にも聞こえる。二村六也の声だ。
「こっちがどんなことになってるのか、知ってるのかよ」
 藤崎はうんざりしたように低い声で答える。
「長谷部は自由に動き回っているぞ」
「だろうな。だけど、それとおれは関係ない」
「バカか」と二村六也はまた怒鳴る。「あいつをやらない限り、おまえにチャンスは二度とない」
「どうして、そう言い切れるんだ。もしおれが長谷部をやったらどうなる。刑務所に入れられるだけじゃないのか?」
 返事はない。
「なにを焦ってるんだよ」
 プツッと切れた。
「行くぞ」
「どこへ?」
「まず休む。メシを食う。手当する。それからだ」
 再びスマホの電源を切ってしまった藤崎だったが、迷いはないようだった。
 梨々花は黙ってついていく。
 都心に戻り、焼き肉を食べ、ラブホに入った。都心でもわずかに離れた北区の繁華街。藤崎のよく知っている町らしかった。
「この辺で生まれたんだよ」
 梨々花は裸で抱かれながら、藤崎の言葉を聞いていた。
「親をぶん殴って、学校から追い出されて、ケンカばっかりして、人のものをかっさらって……。酒を覚えて。大人になった町だ」
「ふーん」
「おまえ、生まれた場所でなにか悪さしたことある?」
「ない、と思う。ただ、寂しかっただけ」
「そうか。あの頃はみんなおれのことを知っているみたいに感じたし、このあたりを歩くと、『ワルが来た、関わるな』って声が聞こえてきそうだった」
「そんなに悪い人だったの?」
「そうでもない。ただ、おれはバカじゃないから……。逮捕されたことはない。警察とは何度かやり合っているし、ちょっとした民事裁判には何度か顔を出しているけど、そういう意味のワルじゃなかった。だから、みんな気味悪がっていたし、煙たかったんだろう」
「いまは? このあたりに来ても平気?」
「どうかな。5年ぶりぐらいに来た。このホテルも、なんにも変わっていない気がする」
「彼女がいたの?」
 藤崎は黙った。
「寝よう」


小説(官能小説) ブログランキングへ

★小説『堕ちる』特別編★
堕ちる1

DMM.R18版はこちらへ
DLSite版はこちらへ
Kindle版はこちらへ

OLが自虐の果てに見たものとは? ブログ連載を加筆修正の上、未公開の原稿を追加しました。主人公は壮絶な自虐癖から拷問ののちに人間ですらなくなっていく……。



★小説『堕ちる』Part2 シークレット・バージョン★
堕ちる2

DMM.R18版はこちらへ
DLSite版はこちらへ
OLが拷問地獄に堕ちる『堕ちる』の別バージョン(「小説『堕ちる』特別編」の続編ではありません)。初出時にあまりの描写に小説掲示板から削除されてしまった部分などを復活。お読みになる前に「体験版」などにある「ご注意」をご確認ください。


エピキュリアン1

今日のSMシーン
人妻奴隷調教 私を肉便器にしてください。 石原莉奈
人妻奴隷調教 私を肉便器にしてください。 石原莉奈



テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

最新記事
カテゴリ
各作品を掲載順にお読みいただけます。なお、作品刊行前に予告なくダイジェストのみの公開になります。
相互リンク
ブロとも一覧

SMデータベース

きょうもいいてんきっ♪♪♪

究極エロ画像まとめ ~ぬきぬき~

ちょっとエッチ・だいぶエッチな画像

緊縛の館

ある調教日記

Sayaka

ハルカの自撮りDougaでDoda | 素人オナニー動画でゴメンナサイ

Tataのアダルト学習帳

僕の変態性処理奴隷ペット 繭子の調教日記

Fetishi-SM いろは

畜奴の家Ⅱ

従順ブタ妻 弥生のSM日記

半熟夫婦の露出日記

淫縛と調教の世界

美しい人妻

SM~猟奇の性書~変態

M男の人間便器動画

緊縛 鼻責めコンテンツアウェイのブログ

~変態奴隷への調教課題~

隠れ変態女に愛を込めて~隠れ異常変態性欲女のための『叫びの壺』

【M男向け】S女とM男の天国 / [For Male Masochist] Heaven of Sadistin and Masochist

Japanese-wifeblog

メイの日常

OL夢華の秘めごと遊び

本当の快楽は40代から

Mogaの寝取られブログ&寝取られ動画専門サイト[MOGA07NTR]

CFNM・マゾヒスト・露出狂研究所

ネこトこネこ

サイズフェチと巨大娘のss小説が大好きな妄想日記

SELF BONDAGE 変態M男の露出と自縛

SM事師たち-無料SM動画学入門-

緊★縛エロチカ★

SM Sleeper

従順M妻の日記

海外SMグッズ通信販売専門店tarantula(タランチュラ)FC2公式ブログ

パイパン奴隷の野外露出とSM調教

拷問刑具図鑑 【SMブログ】

(羞恥+露出+調教)×理性=堕ちる。。。

ゆかりのいろんな日常
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
カレンダー
11 | 2017/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
プロフィール

あんぷらぐど

Author:あんぷらぐど
 アクセスいただきありがとうございます。このブログは18歳未満はお読みいだけないアダルトサイトです。
 表現上、お食事時にはふさわしくないときもありますので、お気をつけください。
 なお本ブログに掲載している作品の著作権はあんぷらぐどに、出版権は電子も含めて荒縄工房にあります。無断転載・印刷・流用はできませんのでご注意ください。

 荒縄工房の取説もご参照ください。

 現在の掲載日程
※2018年4月14日からは下記の予定となっています。

火曜日・水曜日
 監禁日記
木曜日・金曜日
 被虐の家
土曜日・日曜日
 いいなりドール
月曜日
 妄想絵物語(イラスト・月工仮面さん)
 または「コラム」
 月は休止の場合あり


ホームページ 荒縄工房 オリジナルSM小説の世界
 刊行作品についての解説・目次など。

FBページ「荒縄工房 電子書籍部」
 荒縄工房からのお知らせはこちらで随時お届けしています。

SM研究室
 ライブドアブログ。ただいま休止中。バックアップ用。

今日も上機嫌ってわけないだろ
 あんぷらぐどのエロなしブログ。





「荒縄工房」全作品リスト




バナー倉庫

 ここで取り上げている作品はすべて、フィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、特定の団体、宗教、人種、性別などを誹謗中傷する意図はありません。

人気ブログランキングへ


ペンネーム「あんぷらぐど」
1970年代からのSM小説を読み、書き。「仲ゆうじ」などのペンネームで「SMセレクト」などに小説を書かせていただいておりました。
未発表作、新作などを随時、お読みいただきたいと思っています。

FBページ「荒縄工房電子書籍部」
ツイッター@tokyoindiessun
ご利用ください
最新コメント
検索フォーム
QRコード
QR
相互リンク2
最近更新されていない相互リンク先です