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いいなりドール 27 あなたは、社会の敵と言っても過言ではありません

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 元教育実習生の彼と再会し、そして役所の隣にある古ぼけた喫茶店で彼は生姜焼き定食を食べ、わたしはコーラを飲みました。お腹はすいていたものの、彼の前でなにかを食べる気にはなれなかったのです。
 そこでどんなやり取りをしたのか詳しくは覚えていません。だけど、彼がやりたくなっていることだけはハッキリとわかりました。
 生姜のタレで濡れそぼった脂の多い肉を食い千切るその顎。唇からはみ出すキャベツの千切り。それを指で押し込むようにして、テラテラとした指を舐めたあと恥ずかしそうにティッシュを乱暴に取って手を拭くのですが、その間も握り締めた割り箸は離そうとせず。
 味噌汁をズズッと飲むと、またしても唇の端にわかめがデロンと残り、それをもう一度、同じような仕草で口の中へ放り込む。ただ、今度はチョロッと舌先を出して、唇を舐め回したりもして。
「なんか、ついてますか?」
 笑ってはいない目でわたしを見るのでした。あの目。わたしは母親。同時にエッチの対象。性欲の捌け口。なにをしてもいい女。誰とでもする女。
「いいんですか、食べなくて。ここ、ぼくが出しますよ」
 したいんだな、してみようかな。
 興味本位というやつです。意地悪な気持ちもあったかもしれません。健介が他の子を殴ったときに、さんざん、頭を下げていたわたしですが、そのときに彼はこちらの気持ちを考慮するようなことは一切言いませんでしたし、冷笑していたようにも見えたのです。
 いい両親の下、いい学校を出て、成績優秀で教員になろうと張り切っているいやなヤツ。
 もしセックスが好きだったら、相手を選ぶでしょう。こだわりがあるでしょう。でも、嫌いだからこだわりもなにもなく、握手するような感じでしてもいいと思っていました。握手なら嫌いなやつとでもできるから。
 皿にはわずかな汁と千切りキャベツの破片。そこにキャベツについていたマヨネーズの一部が汁には絶対に混ざらないという覚悟でもあるのか、それともわたしになにかのシグナルにでもなるような文字とかシンボルにでもなろうとして失敗したのか。渦を巻くというほどでもなく、漂っています。
「少し、散歩でもしませんか?」
 わたしから誘ったように思います。彼がホッとしたような、うれしそうな顔をしたのを覚えています。
 子供だな、と思いました。男は、どうして女が誘うとバカっぽい顔をするのかな、と思ったりもしました。必ずじゃないですが、その印象が強いのです。女にセックスを誘われるのは、男にとって夢のシチュエーションだとでもいうのでしょうか。
 あまり話すこともないし、彼はやりたいだけだし。いまさら恋愛とかバカバカしいと思っていたので言葉も段階も吹っ飛ばすつもりでした。
 天気のいい日でした。少し寒いぐらい。芝生が黄色く枯れていく季節。空気は乾燥していて、虫も少なくて。人も少なくて。だけどまだイチョウの木はそれほど色づいていない頃。
 漠然とそんな印象しか残っていません。
「雪子さん」
「○○さん」
 名前は忘れました。公園のトイレで彼と抱き合いました。
 キスをしたかどうかは覚えていません。
 たぶん、しなかったでしょう。彼の名前は覚えているはずなのですが、どうしても思い出せないぐらいですし。催眠術でも使えば、ちゃんと詳細を思い出せるかもしれませんが……。
 その頃の公衆トイレにはいまみたいな広い個室はなくて、狭くて寒い個室でした。洋式ではなく、和式だったので邪魔なものは少なくて、やりやすかったような気がします。
 壁の上も下も隙間があって、いわゆる盗撮とかで問題になりそうな感じの作り。虫も入ってくる、風も入ってくる。
 声が外に漏れるかな。わたし、声を出すときがあるから。声を出さないとうまくいかないからです。感じているとかそういうことじゃなく。かけ声。
 その気になれば、人間はたいがいのことができます。記憶にないぐらい、わたしたちはちゃんとやりました。
 それだけは確かです。
 なぜならほどなく、3人で暮らすようになったからです。彼が呼んでくれたのです。
「一人暮らしをはじめたから、来ない?」とかなんとか。「1人じゃ広すぎてさ」とかなんとか。
 わざわざ健介が転校しなくてすむように、同じ学区内で便利のいい街中のマンションです。隣が老夫婦のやっている和菓子屋さんで、そこのあんこ玉と赤飯はとってもおいしかったのを覚えています。いまはコンビニになってしまっていますが。
 彼は大学を卒業したものの教員にはなれず、ぜんぜん関係のないメーカーの営業職となりました。
 彼の両親は仕事は忘れましたが、サラリーマンのように安定していたと思います。わたしの存在は知りません。会うことは一生ないでしょう。
 それでも彼との同棲生活は、あっと言う間に1年ほどになっていました。お気に入りは彼が用意してくれたベッドでした。ベッドで寝る。夢のようです。ホテルで男とするときはベッドですが、家では畳に布団。そんな生活でした。でもマンションは3部屋もあり、健介は自分の部屋が持てました。そして夫婦きどりのわたしたちは、ダブルベッドで寝たり、したり。しなかったり。
 わたしはこのまま彼と結婚し、生活保護を脱して、健介を育てられるに違いないと信じていました。
 ええ、当然、長くは続きません。続くはずもないのです。
 名前さえも思い出せないぐらいの関係でしたから。
 わたしが彼を求めたのは自分の都合だけですし、彼がどんなに過酷な勤務状況でも、セックスを求め続けました。そういうものだと思い込んでいました。するもんだ、と。しないと彼が離れていきそうで怖かったし。
 彼が出張だ、終電を逃した、部長のホームパーティーだとかなんとか、わけのわからない理由で帰って来なくなるのに半月もかかりませんでした。社会人として働く彼とは、実質的にほとんど、していません。
 携帯にも出ません。メッセージも読まれません。お金もくれません。
 そのうち彼の代理人という弁護士がやってきて「出ていけ」と言われました。正式な結婚どころではありませんでした。
 彼が契約したマンションにわたしは不法に居座っているという解釈です。
「よく知らない女が子供を連れて、勝手にぼくの部屋に居座ってるんですよ! なんとかしてくださいよ!」
 シュールです。
 そんなはずないですよね。でも、そうなったのです。
「あなたのような人はもしご病気だったら申し訳ありませんが、とても危険な存在です」
 弁護士は40代というには老けすぎ、でも50代と断定するのは少し可哀想かなと思うような感じ。食事制限でもしているのか頬がこけるほど痩せていて、目がギョロリとしているのを縁の太いメガネでさらに強調しています。
 額が手の平ぐらいの広さになっていて、そのせいで老けた感じなのかもしれませんし、もしかすると若く見える60代という可能性も捨てきれません。
 不健康なほど痩せているのに、額は艶々テカテカで鏡の代わりになりそうです。この人のあそこもテカテカしていたらおもしろいけど。
「あなたは、社会の敵と言っても過言ではありません。それはかつては『押しかけ女房』なる言葉もあったでしょう。でも、個人の権利を尊重するいまの時代にはあり得ません。あなたの妄想のために、優秀な青年が、前途洋々たる青年が大変な苦境に陥っているのです。あなたはここにいてはいけません。いるべきではない。福祉課の人たちからもお話を聞きました。あなたの生活は大変だ。お子さんは、父親が誰かもわからないそうですね。このような素敵なマンションに住むチャンスは万が一にもない。だからといって、偶然出会っただけの男性の部屋に入り込んで、そこで生活を続けていいわけではありません。彼は途方に暮れております。あなたは彼のストーカーですか? 子連れのストーカー? まあ、そういうケースもあっても不思議ではないほどいまの時代はストーカーが一般化していますけども、私どもの常識の範囲を完全に逸脱しております。ストーカー行為をする人のその1点に対する集中、執着、固執はいったいなにが原因なのでしょうね。とても理解できません。相手はあなたのことを好きでもなんでもない。だけど、あなたは相手を一方的に好きで好きでしょうがなく、一緒に暮らして当たり前だと思い込み、奥さんであるべきだと信じ込み、荷物を持って引っ越してきて居座る。極めてレアなケースだとは思いますが、ここまで強烈なのはホントに私もはじめてです。考えてみてください。お子さんのいるあなたと、社会人になったばかりの彼。まったく接点のない人生です。このままではお互いに不幸になるだけです。もしいま出ていくことに同意いただけないのなら、彼は被害者としてあなたを告訴することになります。あなたは裁判で負けて実刑を受ければお子さんと引き離されます。それでもいいのですか? いまなら、わたしもびっくりですが、彼は寛大にも多少の引っ越し費用を負担してもいいとまで言っています」
「いくら?」
「え?」
「費用」
「ゴホン」と弁護士はわざとらしく咳をしました。
「20万円」と弁護士はいやらしい目でわたしを見ながら言いました。
 ウソつき。
「ゴホン」と彼はまた咳をし、「私としては……」ともったいぶりました。「ご両親からのたっての希望でもあり、この事態を円満に解決したいのであれば、これぐらい出してもいいのではないかと思っています」
 人差し指を1本立てました。
「引っ越して新しいアパートに住むのに不足はないでしょう。さあ、どうしますか。いま出ればこれです。ダメなら告訴します」
「もし告訴したら、わたしはその間、ここにいてもいいんですか?」
 弁護士は出来の悪いレモンを囓ってしまったような顔をしました。
「あり得ません。あなたは、警察に留置され取り調べを受け、検察に送られる。拘置所に留められて裁判を受け、判決を受けたらどこかの刑務所に収監されます。つまり、これを断ったら、かなりの長期間、2年とか3年とか、実社会に出ることはできなくなります。お子さんは養護施設に預けることになります。もし裁判の過程であなたの母親としての生活力その他もろもろがないと判断されたら、お子さんは里親に出されることになるかもしれません。そうすると2度と会うことはないでしょう」
「わかりました」
 人差し指1本を貰うことにしました。いろんな書類に署名しました。
 パートの仕事をやったり、店長とエッチなことをしたところをほかのパートさんに見つかってクビになったり、家賃が払えなくなって生活保護を受けたり、知らない男と寝たりしながらの生活になっていきました。
 一番残念だったことは、妊娠でした。
 気づいてすぐ、例の弁護士にそのことを報告しました。狭い市営団地からバスに乗って少し行った市役所の地下の食堂でした。不思議とこの日の日替わりランチは生姜焼きでした。まあ、定番ですから偶然というほどのものではないでしょう。周囲に、彼ぐらいの若い職員たちが唇の端にキャベツだのマヨネーズだのタレの滲みた肉だのをつけている光景。
 ああ、こいつら全員とやってみたら、どうなるんだろうな、と一瞬思ったものです。どうせ退屈でしょうけど。
「妊娠? ウソでしょ。ご冗談でしょ。あなたは彼とセックスしたんですか!」
 それは絶対にしてはいけないことをしたかのような言い方。同棲してたらするじゃん、と思いつつ。
「しました」
「何回?」
「回数は覚えていませんが、会ってすぐ公園のトイレで……」


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