被虐の家 67 傷ついた尻をさらに
「番号は回数ってことだよね」
「姿勢を決めて、次に回数を決めて、最後に道具を決めるわけだな」
「試しにやってみようか」
「当人に回させるのがいいね」
桃江が呼ばれ、円盤を回させる。時計でいえば12時のところに薄い金属の針があり、カチカチカチと音を立て、円盤の勢いがなくなると確実に停止する。
「寝て足をVに」
誰かが読み上げる。
「もう1回」
桃江は再び円盤を回す。
「20」
そしてさらに回す。
「パドル大」
すかさず男が「これだろ、パドル大」と持って来る。団扇よりも大きなパドルには、頑丈な柄がついている。打面は、ゴムで覆われ、金属の鋲が植え込まれていた。
パドル大とパドル鋲の違いは、鋲の数と大きさだけだ。パドル大は一面に短い鋲が埋め込まれている。パドル鋲は、針のように尖った大きな鋲が8本ほど植えられている。
男たちにどういう決まりがあるのか、淵野にはわからない。しかし乱れることもなく、最初にパドルを使う者は決まっているようだ。
桃江にマットに仰向けに寝かせ、足をVの字に上げさせる。
「20発だからな。どこを狙おうかな」
その鋲の感触を自分の平手を軽く叩きながら確かめると、「最初はここだよね」と、寝ていてもなお大きく膨らんでいる乳房の横にしゃがみ込む。
パドルを軽く置くと、左の乳房が完全に隠れてしまう。
「こうかな」
振り上げて打ち下ろすかっこうを、素振りのようにやってみる。
誰も止めない。
バチンっと肉の弾ける音がした。
桃江はその痛みに向こう側へ横向きになってしまう。
「バカだな。姿勢を崩したら、回数に入らないんだよ。指定された格好をし続けなくちゃ」
それは残酷なルールだった。
急所を打てば、逃げる。反射的な行動だ。
「もう一度」
同じ左の乳房に打ち下ろす。
「あっ」
我慢できずに、足が閉じてしまう。
「縛って……。お願いですから。縛ってください」
桃江は涙を流して懇願する。
「どうしよう。縛る?」
「足を吊せばいいんじゃないか」
真知子も介入せずに静観している。淵野にはわからないが、真知子はこの顔を隠した男たちを信頼する理由があるようだ。
男たちは、真知子の許可を求めることもせず、桃江の足首に枷をはめると、天井から下がっているフックに縄をかけて枷を吊り上げた。片足ずつ別々に吊り、尻がマットから浮き上がる。
「逆さ吊りにしたいけど……」
「一応、ルールだから」
彼らは盤面のイラストにこだわって、そのまま吊るようなことはしない。
「手を頭の後ろに」
「はい」
涙ぐむ桃江はけなげに命令に従い、自ら手を枕のように頭の後ろで組む。
「じゃあ、いくよ」
「ぎゃん!」
力はほとんど入れていない。振り下ろしたパドルの重さだけで、乳房を打ち据える。
左の乳房を5発、右の乳房を5発。そこで男は交代する。
「おれは、こっちだな」
伸びきった足をかかえるようにして、尻と腿の付け根あたりに打ち下ろす。
「ひっ!」
その男は勢いに任せるのではなく、しっかり腕を振って勢いをつけた。打擲の音は数倍にもなり、それだけで痣がしっかりと浮き上がった。
「どうだ、痛いか」
「痛いぃぃぃ」
さまざまな苦行に泣かされてきた桃江。ストレートな暴力に、我を忘れて泣いている。
「もっと痛いぞ」
傷ついた尻をさらにぶちのめす。
左の尻が終われば、次は右だ。
「ちょっと物足りないけど、おもしろかった」
男は満足してビールを飲む。
真知子と淵野は傷ついた桃江の足を自由にしてやる。
「次は千絵だ」
「はい」
小柄な娘が盤を回す。
「ブリッジ」
ただでさえ苦しそうな姿勢が当たった。
「×2」
無頓着に回したせいだろうか。
「35」
「つまり、70発ってことだ」
最初は無邪気に微笑んでいた千絵も、さすがに70発と聞くと、膝が震え出す。桃江はわずか20発であれだけのダメージだったのだ。
「さあ、もう一度、回して道具を選べ」
青ざめた妹が、力なく回すと、「パドル大」をすぎ、「パドル鋲」をすぎ、「竹刀」で止まった。

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