グランドSM 4 お母さんはどんなことをされていた?
「久美、答えろ」
「しています」
「なにを?」
「自分で、する……」
「オナニーと言ってごらん」
「オナニー、してます」
「毎日?」
「はい」
そう言って、勝手にのけぞる。
この部屋に入ってから、何回いっているのか。ここには私と妻が長年にわたって捻れたエロスを染み込ませてある。その毒気に当たったのか。
いく、と言っても小娘のことだ。まだ本物のアクメではないだろう。体が疼いてしょうがないのだ。そして軽く気持ちいい動きをするだけで、簡単に果てるのだ。
そのお手軽なスッキリ感は、クセになるだろう。
男のように射精で終わるのとは違い、女性は「これがアクメ」と思えばそれが頂点なのではないかと思う。確かめたことはないが、軽い絶頂を何度か味わって気が済むこともあれば、深い絶頂を求めて悶え苦しむときもある。
「お願いです。お仕置き部屋につれていってください」
妻が懇願するのは、そういうときだったのだと思う。
または、ただ私に気を使って、ストレスが溜まっているのではと思ったら、あえて自ら犠牲になろうとしたのかもしれない。どっちもあっただろう。
「やってごらん」
「えっ、ここで?」
「そう。気持ちよくなるように、やってごらん」
久美は、自分の指をまんこ全体に被せるようにし、そのままイスの背にあてて、なにやらもぞもぞと腰を動かす。
なにをしているのか。裸になっていても、よくわからない。
そんなことをして、なにが楽しいのか。
「ああっ、いくぅ」
ほどなく、彼女は極まってしゃがみ込む。
それでも手はあそこから離さない。優しく揉むように指を使っているのではないだろうか。
「机の角に擦りつけたりするんじゃないの?」
「それも、します。でも、これが一番感じる」
「ふーん」
遊びというものは、さまざまな段階があり、彼女はいまここなのだろう。股間をどこかに擦りつける喜び。次にはもっとソフトに自分の指と物を使って少し複雑に感じる喜びというわけだ。
その先はまだまだいろいろな段階がありそうだ。
「久美。今日からオナニーは原則禁止だ」
「えっ?」
「したくなったら、私に頼むんだ。私が許可したとき、私の目の前でだけオナニーしていい」
「なんで?」
「手軽な快楽は、本当の快楽の妨げになるからだ。久美も本当の快楽を味わってみたいだろう?」
「本当の?」
「いまはわからなくてもいい。だけど、手軽なスナック菓子ばかり食べているんじゃなくて、久美もこれからはちゃんとした料理も食べなくちゃいけない。気持ちいいことも同じだ。最高の味を知らなくちゃね。知りたくないかな?」
しばらく久美はトロンとした目で私を見ていたが、「知りたい」と答えた。
「私が教えてあげよう」
「はい」
催眠術師になったような気分だ。
全裸の久美を好きなように操れる。それを彼女も望んでいる。
週1回の出社以外にはとくになにもなければ、私の予定は週2回のゴルフ、1回の釣りがメインとなる。
いずれも、外交的な意味で社外の付き合いをしたり、業界団体の付き合いをしたり、グループ会社や取引先との付き合いをしたりするので、仕事といえば仕事。遊びと言えば遊びだ。
たまには京都に行き芸者遊びをしなければならないとか、なんとか祭りに客と一緒に行くとか、幕張で開かれる展示会でテープカットの横に立つとか(私はメインではない)、名誉会長が思いついたイベントに付き合うという義務もある。
とはいえ、名誉会長は気まぐれではあるが、私はあくまで仕事のパートナーであって遊び相手ではない。それは若い頃から同じで、心から遊びたいときにはお互いに煙たい。
お誘いは月に1回程度でいい。
ゴルフと釣りは、天候に左右され、招待する相手も高齢者が多いので、やれ雨だ、台風だ、暑い、寒いと、なんだかんだ中止になりやすい。中止になってもどちらも予約をしているので、私は誰かとゴルフしたり釣り船に乗ったりできないこともない。でも、それは若い秘書に任せて、彼に適当に誰かに行かせるように手配させている。若手の役員、執行役員、関連会社の役員などは、雨が降ろうが寒かろうが、ゴルフでも釣りでも喜んで行く(たぶん)。
かつてはそうしてポッカリと空いたとき、妻であるとか、ほかのプレイ仲間たちと密やかな楽しみにふけることができた。
妻が亡くなったことはその方の連中にも知られている。妻がいたから私と安心して付き合っていた者たちもいて、ひとりになってしまうと前のような付き合いは難しくなっている。
プレイには多かれ少なかれ危険が伴う。失うもののない人間が参加することは、とても危険だ。みな警戒して当然だろう。
それに、その仲間たちは、私が若い頃に妻にどれほど過激なプレイを要求したかも知っている。
正直、やりにくい。気心は知れているので酒を飲んだり飯を食うならいい仲間であるものの、いまさらプレイをしたいと言い出しにくいし、向こうも誘って来ない。みな、どこかしら健康に不安を抱えている。そういう年齢になってもいた。
それがどうだ。
ここにいる肉体。若く、多少の過酷さもどうということはない。すぐに回復してしまうだろう。なによりも、底知れぬ欲望。うらやましいほどの貪欲さ。目を見ればわかる。欲しいのだ。いっぱい欲しいに違いない。
「どういうことをされたいんだ?」
「お母さんが昔、されていたみたいなこと」
ドキッとした。久美の母親? 貴子のことだ。もちろん、私はいずれ貴子も欲しいとは思っている。とはいえ、堅物の息子の嫁だ。私のような乱れた存在を毛嫌いしている可能性は高いと思っていた。
「貴子か。お母さんはどんなことをされていた?」
「縛られて、叩かれててました」
そんなはずはない。
息子は私が妻とのプレイを嫌悪して出て行ったのではないか。自分の母を同意の上とはいえ、肉体的に責めさいなむことに対する強い拒絶反応があったのではないか。
「見たのか?」
「何度も」
「写真はあるのか?」
「お母さんの携帯に入っていると思います」
なんということだ。
今日は、とんでもない記念日になるかもしれない。孫に同意を得ただけではない。孫は母親の貴子を私に売ったのである。
「なるほど……」
急いではいけない。危険だ。久美は若い。口からでまかせを平気で言う子かもしれない。自分が欲しいものを得るためなら、ウソでもなんでも利用するかもしれない。
気持ちを試すしかない。
私は部屋の壁に仕込まれた金具を引き出し、その一部を開いた。
「ここは仕置き部屋と呼ばれている。なぜかわかるか?」
「いえ」

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