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小説 官能アドレセンス 11 ビデオに出てくれって言われて……

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 芳純は自分でモデルを縛って写真にする。それは必ずしも一般的ではないらしく、緊縛を施すだけの仕事がメインで、その場合はプロの写真家が撮影する。
 紀里夫の過去に、芳純の緊縛を撮影していた形跡は見つからない。
 弟子、アシスタントとして名のある写真家につくことも多いので、そのときに紀里夫と芳純が同じ師匠についていたかもしれない。または芳純の緊縛を撮影していたプロ写真家に紀里夫がついていた可能性はある。
 そのような関係があったとしても、亜希江と「同じ」ではない。
 亜希江のような仕事を紀里夫がしていたわけではないので、そういう意味で言ったのでもないはずだ。
 紀里夫は芳純に縛られたことがある、と解釈できる。それも仕事ではなく、プライベートに。
 どうしても頭から離れないのは、亜希江が私の足の指をおいしそうに舐めたこと。
 紀里夫にそんな性癖があるとは信じられないし、これまでまったく感じたこともなかった。ごく普通の男性としての性欲を彼は素直に私に見せた。私が昔読んだことのあるレディースコミックよりもずっと大人しいセックスだった。
 そうでなかったら、私は彼との同棲をこれほど長く続けていなかっただろう。
 温かく、やさしく、スローな愛。
 この言葉は安易に使いたくはないものの、まさに「癒される」関係だと感じていた。紀里夫も私との関係で癒されていると思いたかった。心地良い関係なのだと。
 彼はその気になれば、いくらでもモテるだろう。
 男にも?
 芳純に抱かれている紀里夫。芳純に縛られている紀里夫。芳純の足を舐めている紀里夫。
 そんな想像をすること自体が、穢しているような気がしてしまった。自分を、そして彼を。
 ナミスケのやつ。腹いせでいい加減なことを言ったのだ。
 そのほうがわかりやすいし、平気でウソをつく女はこれまでに何人も見てきている。
「ちくしょう」
 思わずつぶやいていた。
「ん、どうした、大空さん」
 田上編集長の耳まで届いてしまったようだ。
「いえ、なんでも」
「うん」
 校了の近い本を抱えた彼。私も脱稿寸前の原稿を扱っていて、お互いに忙しい。神経がすり減っている。
 ほかの編集者もいつの間にか戻っていて、それぞれのスケジュールの中でギリギリの仕事をしている。
 不思議なもので、それぞれに担当している仕事は違うのに、緊張感の高まる期間はよくかぶる。天の配剤によって、本来、かぶらないはずのスケジュールが前倒しになったり押したりして、どんどんかぶっていくことは珍しくない。
「ちょっと、出かけてきます」
 ノートパソコンをかかえて、編集部から出ることは、暗黙の了解を得ていた。社外に出すことについては厳しい決まりもあるのだが、それさえも、権限を持てば自宅でも作業はできる。
 クラウドという便利な仕組みのおかげもあって、そして母体はIT企業なのでその専門家だらけなので、どこでも仕事は可能だ。
 社内にしつらえた見晴らしのいいカフェに行くと、比較的すいていたので、あまり目立たない隅っこのカウンターに落ち着く。
 オフィスの中にこういうスペースがあると、なんだかいかにもな感じで、私としてはいけすかないのだが、こういうときは助かる。飲み物も無料だ。
 しばらく作業に没頭できた。場所を変えると集中できることもある。
 生の原稿データを熟読して、疑問や編集上のアイデアなどをメモしていく。そのすべてを著者にフィードバックするわけではない。まだ原稿は完成していない。ここで下手なフィードバックをすると執筆が止まる可能性もあるばかりか、すでに貰っている原稿にまで遡って変更になる可能性もある。
 とりあえずは、最後まで書いてもらい、自分の意見を添えて編集長と検討したのちに本格的なフィードバックをするのだ。とはいえ、現段階で修正しておくべき部分があれば、正直に著者に伝えるべき場合もある。
 複数の本を同時に執筆していたり、論文と一般向けの本の原稿を並行して書いている著者は、それが相互に入り交じり、突然、難しい内容になってしまったり、本筋とは離れた議論に傾倒することがあるのだ。
 ひどいときなど、自分の研究室のブログに書いたエッセーをコピペしてきたり、その中には学生の論文が丸々入っていたりすることもある。
 ポンと軽い音がして、メッセージが入った。
「お客様がいらしているようです」と編集の若い子からだ。
「ありがとう」と返事をする。
 アポイントのない客。
 受付にいるらしいので、スマホで受付に電話をする。
「波野さんがいらしておられます」
 誰だ……。
 仕事に集中していたので、すぐには浮かばなかった。そしてなぜか顔は赤くなり、体温が少し上がったような気がした。恥ずかしくなった。亜希江だ。
「そちらに行きます」
 パソコンを持って外に出るわけにはいかないので、いったん編集部に戻ってから、ショルダーバッグを手にすると「ちょっと出かけてきます」と言って素早く消える。
 みな忙しいときなので、荒立てたくない。
 受付へ行くと、ロビーの背のない四角いソファーにポツンと彼女が座っていた。大人しいスーツ姿でホッとする。
「どうしたの?」
「あ、大空さん。うれしい」
 彼女は立ち上がるといきなり抱きついてきた。
「ああ、ちょ、ちょっと」
 受付にいる派遣の子たちにしっかり目撃されている。
「外に行こう」
 彼女は黙ってついてくる。
 渋谷方面に少しいったところにビルの1階にカフェがあった。ラテが300円ぐらいから。パニーニやベーグル、チョコクロワッサンなどの軽食もある。木のイスが中心のさっぱりとした店だ。
 奥に2人掛けがあったので、そこに座ると「なにがいい?」と彼女に聞く。
「アイスラテ」と元気なく言う。
 彼女の姉になった気分になる。注文カウンターでアイスラテを2つ頼み、それを持って席に戻ると、彼女は「すみません」と言い、ハンカチで涙を拭いたような仕草をした。
「どうしたの?」
「仕事で……」
 なにか嫌なことでもあったのだろうか。彼女が落ち着くまで、しばらくそっとしておく。
「マネジメントをしてもらっている会社から、クビになりそうなんです」
「クビ?」
「お仕事、しないからって」
 大変そうだな、とストローでアイスラテを飲んでいる彼女の口元を見ながら思うものの、実感はわかない。
「ビデオに出てくれって言われて……」
「それが、嫌なの?」
「3本まとめての契約なんです」
「よさそうに聞こえるけど」
「1本だけ、すごく大変なのがあって……」
「それが嫌なんだ」
 コクンとうなずく。



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