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小説 官能アドレセンス 25 愛が穢されそう

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 ここに来てから、怒りの沸点がとても低くなっている気がした。
「浮気じゃなくてね、本気でよ。愛し合ってセックスするの」
 セックスをしても浮気じゃない、と考えたとき、世の中の不倫はすべて重罪になる。浮気じゃなく本気のセックスなら、それはもう犯罪ではないか。裏切りではないか。
「あなたは、許さないでしょうね。京都にいる望月ってオバサンとセックスしたいからって、紀里夫があなたにお願いをしたとしても」
 そんな事態は、想像もつかない。
 これから浮気するので許してくれと、あらかじめ妻に了承を取るなどということがまかり通るわけがない。いつの時代の話なのだ。いや、いつの時代だってムリではないか。
 そこには慎みというものがあるはずだし、労りとか、おもんばかるとか。なにかしら、相手を気遣う気持ちがあってしかるべきだし、そのためならウソも方便ではないか。裏切りを自覚しない裏切りは、重罪ではないのか。
「安心して。紀里夫とセックスしたことはないの。仮の話」
 望月は、私が恐ろしい顔になっているのを見て、慌てて誤魔化す。むしろしたんじゃないか、とムカムカするほどの疑惑が私を支配する。この女を突き飛ばし、やっぱり帰るべきかもしれない……。
 彼女は菓子鉢の蓋をあけ、爪の先ほどの小さな揚げたあられのようなものをつまみ出すと、くるくると包装を解いて口に入れた。
 カリッと乾いた音がした。
 お金をかけている歯だ。金歯を見せつけるような下品さはないが、高級なセラミックで治しているに違いなく、その白さは人工的だ。立派すぎる歯。幼い頃から歯列矯正をし続け、丁寧に治療を重ねてきた結果だろうか。
「芳純と私は夫婦だけど、お互いに誰とセックスするかは話をして、了承を取るルールになっています」
 その言葉を理解するのに、少し時間が必要だった。彼女があられを飲み込み、コーヒーを含んで流し込む。白い喉がいやらしく動く。
 ゾワッとした。
 そうか、この望月沙和子に漂う妖しいまでの色気というか、気持ち悪さはそこから来ているのか。
 夫婦で浮気を認め、誰とでも好きな人とセックスをする。それをお互いに了承し合う……。
 芳純や芳清から感じる違和感も同じなのか。亜希江も?
「たとえば、亜希江」
 彼女がその名を出したのでドキッとした。
「彼女、AVの仕事をするのよ。男優さんとセックスする仕事よ。もし亜希江の彼氏がいたら、それを了承するしかないわね。違う?」
 聞きたくもない、考えたくもない、非常識でとんでもない話ではないか。
 悪質な新興宗教なのか。
「長いこと、夫婦は愛情とは名ばかりの、経済的な理由と法律的な理由と世間の常識に縛られて、浮気は認めず、セックスを抑圧してきたの。セックスだけが人間の欲望ではないけれど、ある時期にはとても重要な欲望よ。世の中で、セックスの不満で起きる犯罪や悲しい出来事はいっぱいあるわ。当人はそれをセックスのせいとは自覚していないこともあるでしょう。セックスによる快楽を得られないことによって、不満は慢性的に蓄積して、思わぬところで爆発するのね」
 私は冷めたコーヒーを飲んだ。底に滓が残っている。
 いま爆発すれば、これも私のセックスを原因とした不満の爆発だと彼女は訳知り顔で解釈するだろう。
 怒りはふつふつと残っているのだが、抑える。
「あなたは紀里夫のことを愛しているのね?」
 返事をしたくなかった。自分の愛が穢されそうだ。
「だからここに来たんでしょう?」
 そういうことになる。ただ望月夫人の言うような意味ではないと反論したい。それができなくて涙が出そうだ。
「愛って不思議よね。私も芳純も心からお互いに愛し合ってるの。素敵なセックスもいっぱいしている。だけど、私も芳純も同じ嗜好なのね。わかるかなあ、そういうの。たとえばナミスケを縛っていじめたいとかって気持ちがあるとするわね。それも愛情なの。私、あの子、憎たらしいぐらい好きだし愛してる。いじめたい。芳純もそう思っているわ」
 変態夫婦の自己弁護ではないか。これ以上、聞かされるとこっちがおかしくなっていく。
「つまり、私がナミスケとセックスすることを、芳純は認めているし、私は芳純がナミスケとセックスすることも認めているの」
 全面的に拒否したい。拒絶したい。ここに空まで達する壁を作りたい。
 壁……。
 ハッとした。トランプ大統領がメキシコ国境に壁を作ると宣言したとき、私はそれを「バカなことを!」と反発した。ベルリンの壁が崩壊されてから、時代は壁を壊す方向にあったはず。みんなが自由に行き来できて、それぞれの自由を最大限に尊重する時代になっていくと信じていたはず。
 それに逆行するような「壁」に反発したはずだ。
 だけどいまは、壁が欲しい。
 壁がないと私が守れない。
「芳純っておもしろい人で、男性ともセックスをしたいのね」
 狂ってる。
「私とナミスケは女性同士。それを認めてもらっているのだから、芳純が男性同士でしたいという気持ちも尊重したいの」
 その対象が、紀里夫……。
 まさしく、波野亜希江と立川紀里夫は「同じ」なのだ。
「いますぐ、大空さんに理解してほしいとは言わないわ。こんなことを聞かされて、いま気分が悪いでしょうね。紀里夫もナミスケも、自分からこうしたことをあなたにちゃんと説明するのは、とても難しいことだったということだけは、理解してあげてほしいの」
 紀里夫に打ち明けられていたら、私はどうしていただろう。
 黙って出張のふりをして芳純の元に逃げた紀里夫。正直に自分のことを私に言えなかった彼。
 そして、私は、夫人に言わせればナミスケとセックスしてしまった女なのだ。紀里夫のいない間に、彼女によって快楽を得ていた……。
 そのことを、私は紀里夫に言えるだろうか。
 あの快楽はなんだったのか。
 私は一度も同性に欲情したことはない、とは断言できない。同性を好きだったことは幾度もある。でなければ、バンドの裏方を続けるモチベーションはなかったかもしれない。音楽好きなだけではなく、そこに集う人が好きだった。その中に、好きな女子がいた。嫌いな女子もいた。私の好きな子は、私とまるで接点のないトロンボーンを吹く子で、いつも不機嫌で、他人を冷笑していた。打ち明けたこともなければ、ろくに会話もしていない。共通の話題がほとんどない。「ありがとう」と言われたことはあって、それがズキンと刺さっていた。他人を冷笑する子が、私にチラッとウソかもしれないけど微笑んだ。
 彼女は音大を受けて落ちてその後どうなったかは知らない。いまもトロンボーンを吹いているだろうか。不機嫌そうな顔をして。
 亜希江に欲情した記憶はない。むしろ、させられたように思っている。快楽に引きずり込まれた。すべては亜希江が悪い。彼女の慣れた技巧によって、私は甘い悦楽に浸った……。
 悪いことが甘い記憶として刻まれてしまった。
 紀里夫とのセックスとそれを比べることは、いけないことのように思えた。すばらしいお酒が2種類あって、1つは大手メーカーのお墨付きで、もう1つはまったく知らない田舎の地酒だったとして、優劣はつけられないが、なんとなく他人にプレゼントするなら前者になってしまう。他人に自信をもって勧められるのは前者だろう。
 紀里夫との関係はその意味で私としては、親にも言える正しい行為だった。
 おまえ、バカか、と言われそうだが、正直なところ「紀里夫としたよ、すごくよかったよ」と公言しろと言われたらできる気がする。
 これまで生きてきた30年以上の月日を賭けても、堂々と紀里夫との愛は素敵だったと言い切れる。どこに出しても恥ずかしくはない。
 亜希江とのことは、恥ずかしくて誰にも言えない。AV女優(になるはず)の女性に、指で絶頂を迎えさせられた経験は、友だちにも言えない。北海道で懸命に生きている友人に、そんなバカな話、できるわけもない。
 紀里夫は芳純との関係を、私に言えるはずがなかった。誰にも言えないことのはずだった。
 芳純と望月夫人ら少数の人たち、緊縛関係の人、こうした会に集まってくるマニアというかファンというか同好の士というか、そういうクローズドな人たちの間では公然だった。
 だからといって、私がその人たちの前で、「亜希江の手マンでいかされました。彼女すごく上手で、とても感じたんです」なんて話をする気にはなれない。
 もし言ってしまったら、「大空さん、私たちと同じですね」と亜希江に言われてしまうことだろう。
「人には誰も言えない秘密があるものよ」
 夫人の声が再び耳に入ってきた。それまでなにを言っていたのか、まったく聞いていなかった。
「秘密を共有する仲間がいることは、怖いと誰もが思うわね。でも、ある程度ならできるし、そのある程度でかなり楽になれるの」
 話の脈絡が見えない。もう一度、最初から言ってくれとも言いたくない。
「たとえば、今日のこの会。参加するだけで、緊縛に興味があって、パートナーを縛ることに熱中していることがわかる。なにも『私は誰かを縛りたいんです』なんて宣言する必要はないの。参加するだけ。ここは私の趣味もあって、伝統的に身元確認をきっちりさせていただくけど、もっと参加資格の緩い会もあるわ。映画を見るのと同じように、入場料を払えば参加できるようなものもね」
 彼女は私を誘っている。それはわかった。
「その場にいる、それだけで意思表示になるのよ。ナミスケは、あなたに縛られたいって言ってたわ。私もお会いして、なんとなくわかるの。あなたは彼女を引きつける魅力がある。紀里夫も、きっとそれに引きつけられたのよ」
 だからってなんだ、と言いたくなったが、なぜか私の自覚していないその魅力とかの話になったとき、亜希江にいじられたところがギュッと熱くなった。



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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

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