奈々恵の百日 3 第一話 奴隷市場 その3
「せめて、自分で自分の価値を証明しようという気概が欲しいわ」
夫妻と聞いていましたが、発言しているのはスラリとしたシルエットの女性だけです。その足元で小さくなっている三号。
数人が話をしている様子がありますが、はっきりは聞こえてきません。
「いまから奈々恵の手を自由にしよう」
司会者が宣言します。
両手が別々の人の手で自由になっていきます。ただ、首の縄、両足首の縄はそのまま。つまり開脚して首吊り状態のままです。
「次の段階へ行くために」と中麦の声がしました。
無価値の奈々恵。33年生きてきた結果、価値なしの人間以下の肉便器。されるがままに肉体を蹂躙される喜びに浸っている生き物。それでは、飼い主様は価値がないとおっしゃるのです。
手が自由になったとはいえ、痺れています。指先にあまり力が入りません。思わず苦しいので首の縄に指がいきます。
「やめなさい。命令したこと以外はしてはダメ」
飼い主様になるかもしれない女性の声は絶対なのです。
「乳首とクリトリスの金具を外してごらん」
そんなことをしていいのでしょうか。
そもそも、できるのでしょうか。
「いま、緩めてやる」と三田らしき男の声がし、乳首とクリを上下からがっちり突き刺しているネジを半回転ぐらいだけ、緩めてくれました。それには工具が必要だったのです。
「外せ」
震える指をなんとか落ち着かせながら、右の乳首から、長いこと噛みついていた金具をゆっくり外していきます。気の遠くなるほどネジを回していきます。上だけではなく下のネジも回さないと、肉に食い込んでいるので外すことができません。
それはわずか直径15ミリの乳頭。そこに7.5ミリずつ食い込んだネジ。こんなわずかなものなのに、脂汗を流しながら少しずつ、しっかり食い込んだ肉から引き剥がしていかなければなりません。
差し出された銀色のトレイに金具を置くと、真っ赤な血が数滴、トレイを汚しました。
「リングはそのままでいいわ」
引き伸ばしているリングは外せないのです。
左乳首からも金具を外します。右乳首の痛みのせいか、さきほどよりは早く外すことができました。うずくような痛みにせかされて、鮮明な鋭い痛みを求めてしまうのです。
「クリもね」
「あああああああ」
思わず悲鳴のような声を上げていました。
少しネジを回すだけでもズキズキと痛いのです。せっかく落ち着いていたのに、傷口が再び開き、新たな傷が生まれていくのです。その痛みが全身に駆け回ります。
「それが、おまえの価値だよ」
痛い。痛い……。
自分で傷つけていく。命令されれば、どんなことでもする。なにをされてもいい、というのはいかにも傲慢でした。
「さっき、おまえは、『どのようにお使いなるかはみなさまに委ねます』みたいなことを言っていたわね。肉便器としてはそれでいいかもしれない。だけど、ブタ四号になろうというのなら、そんな他人任せではダメなのよ」
それはそうでしょう。便器は使いたい人がそこに行き、したいことをする。便器が人を追いかけることはありません。なされるがまま。その責任はすべて使う側にあるのです。「ご自由にお使いください」は、「あなたの責任において」が省略されているのです。
三つの金具がトレイに並びました。どれも血で汚れています。
そして別のトレイが差し出されました。金色に光る三つのリング。
「人に奉仕する気があるなら、自分が相手に奉仕するに価する存在にならなければならない。少なくとも私たち夫婦は、その気のない生き物から奉仕されたいとは思わない」
その意味はすぐにはわからないのですが、いまの自分では価値がないということでしょう。誰かに奉仕する値打ちのない存在なのです。
「自分で、そのリングをつけなさい」
これまではネジで上下から挟んでいたのです。もちろんネジの先端は鋭く尖っていて、その先端が潰れるほど上下から挟んでいたので、事実上、貫通していたのでしょう。
だからといって、そのリングを通せるかどうかはわかりません。
焼けているように熱く痛む3カ所に、自分でそれをつけることができるのでしょうか。
あああ、試されている……。
こうした一つ一つの行為を積み重ねていかなければ、四号になることはできないのです。
手と乳首と陰部に、スプレーをかけられました。消毒なのでしょう。十分だとは思えませんが、なにもしないよりはマシ。これまでも毎日、消毒液だけはかけてきたので化膿はしていません。金属アレルギーでもないようです。
乳首は腫れたようにずんぐりとしています。そこにボコッとネジによって開けられた穴があります。
金のリングは少し開いているので、その末端を穴にあてます。
太い……。
「あああうううううう」
穴の入り口は余裕があったのに、すぐにすぼまってリングの方が圧倒的に太いのです。貫通しているはずなのに、ここまでは穴は大きくないのです。
「どんなことも、命令をしっかりやり遂げることができるかどうか。奴隷の価値はそこで決るのよ」
穴がまだ小さいのです。自分でリングをつけるなんてムリです。できません。痛い。やりたくない。自分で自分の乳首を壊すなんて……。
無数に沸き起こる言葉。
いまの私には、そんな自分の、過去の自分からの声こそが無価値なのです。
「ぐああっ」
思いきり、リングを通します。途中で左手で乳首を持ち、右手でリングを押し込みました。
「はあっ」
乳首はリングが通ったために、また少し太くなったように見えます。支えていた左手にポツンと小さな血玉がついていました。
「さっさとしなさい。何時間かけるつもり?」
褒めてはくれない!
だけど、やるのです。
同じやり方で、左の乳首にもリングを通します。
「はあ、はあ、はあ」
そして陰核。
そこはもはや私にとっては快楽を生む魔法の器官ではないのです。オナニーをするとき、バイブをあてるとき。セックスのとき。そこやその周辺を優しく愛撫されることで、無上の悦びをくれたその肉芽。
金具をつけられ引き伸ばされてからは、悦楽のスイッチにはなっていても、同時にあまりにも痛く、苦しく、ちぎり取ってしまいたいほど忌まわしい器官になっています。
震えながら、そこにリングをあてます。乳首よりはこちらの方が穴は大きく開いているような気もしましたが、そもそも神経がまったく違い、触れるだけでもビリッとくる感じ。それを無視して、入れていきます。
「きいいいい」
切り裂くような痛み。リングの末端は滑らかではないのです。乳首のとき以上にそれが意識されます。
「ぐはっ」
貫通させました。
「よーし、最初にしては上手にやったじゃない」
褒めてくれた……。
その人は無造作に私の涙を指先でぬぐい、その指を唇に押しつけました。命令はありませんが、私はそれを舐めました。
「努力って言葉、私は嫌いなのよね。でも、奴隷が義務を遂行することは好き」
よくわからない。でも、この人の言葉についていくしかないのです。

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