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インサイドアウト 第一話(その2) 体の芯に

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 あとで真津美は、このままデートを重ねて、普通の男女がするようにホテルで一夜を過ごしでもしたら、そのうち直人は親兄弟を紹介しはじめたり二人の将来を語ったりし始めるのではないか、という恐怖から逃れたかったからだと思った。
 もっともイヤなのは子供とか家庭とかの話だった。好きな人とそんな話をしたくない。自分がそんなものに関わると思ったらゾッとする──。
 そこに理由とか理屈とか精神分析的なこじつけは必要なかった。パクチーが嫌いな人がいるように、真津美は自分が子供を持つことや家庭を持つことを嫌悪しているだけだった。
 自分はどうせ雷に肉体を焼かれて死ぬ運命なのだから。
「仕組みとしては完璧でしょ」と直人は自慢する。小器用で爽やかなな若者は、とても疎ましい存在だと真津美は思うのだが、恋愛対象ではないので「ありがとう」と素直に言える。
 直人が数か月かけて集めた人たちは、全員が身元を晒している。別荘にはロッカーを設置し、各人が私物をそこに預けることができる。スマホなどは室内に持ち込めない。そもそも大きな風呂が二つもある別荘で、真津美が使うようになってから使っていなかった風呂も掃除して使えるようにした。正確には清掃の会社に委託したのだが。
 これまでの駐車場は四台が限界だったので八台置けるように広げ、さらに裏手の空き地(曾祖父はそこに天体観測用の別棟を建てるつもりだったらしい)の雑草を刈って、高級車に傷がつかない程度には整地して、そこだけで十五台ぐらい置けるようにした。
「道の駅じゃないんだから、そんなにいる?」と直人はあきれていたが、真津美は大真面目だった。自分が果たしてどこまで耐えられるのかわからなかったのだ。
 この駐車場にクルマが一杯になることなど、あるのだろうか。
「真津美です」と、全員が集まったとき、ウエルカム用に用意したシャンパンで乾杯した。男たちは二十代から四十代までの六人。ゴルフ、テニス、登山、ドライブに行くようなかっこうでやってきている。
 自己紹介をし合うような会ではない。いや、会ですらない。
 全員が直人の作った書類に同意している。
 酔っ払ったあげく、ふしだらに交わるようなデカダンスな会合ではない。昼間から意識を明瞭にしたままやり遂げたいのだ。
 それでも男たちはシャンパンを飲んで、男どうしの微妙な値踏みをし合ってから、四十代の男が年長者であることからリーダー格になっていくのが見て取れた。
 真津美にはどうでもいいことだった。直人の案内で、全員が下着まですべて脱ぎ、私物とともにロッカーへ仕舞って風呂へ。
「あなたも参加するんでしょ?」
 直人は彼らが風呂へ行ったあとも、しばらくぼんやり立っていた。
「本当に?」
 すべてを具体化した直人だが、いまになって躊躇っていた。
「私がしたいことをする。それだけ。すごく助かっているわ」
 真津美は本心から思っていた。自分ではとても実現できなかった。SNSを使う、夜の町に出る、その道のプロを活用する、などなど考えたことはあったが、まったく具体的にはならなかった。
 いまはじめて、見知らぬ男たちを集めることができたのだ。このためだけに。
「行って」
 二つの風呂。男たちは好きな方へ向かった。直人も裸になると私物をロッカーに入れ、暗証番号を自分で設定して風呂へ行く。
 真津美自身、裸になって体に真っ白なバスタオルを巻いた。どうするか考えたのだが、最初はテレビなどで温泉紹介をする番組のように、タオルを巻く方がむしろわかりやすいような気がしたのだ。
 庭に近いいつも使っている風呂へ真津美が行くと、そこには直人と三人の男がいて、「おおっ」と声を上げた。
 真津美は意を決して、タオルを外し、あえてしゃがんで、シャワーを浴びた。男たちの視線を感じる。慣れ親しんだ浴室なのに、男湯に紛れ込んだようなスリルがある。
 なんといっても風呂場だというのに、男臭い。乾杯したときにはあまり意識しなかったのだが、ここに来て男の髪や肌からたちのぼるなんとも言えない獣臭に、真津美は興奮していた。
 男たちの前で体を洗い、シャワーですっかり流したあと、タイルの上に正座をし「本日、どうかよろしくお願いいたします」と深々とお辞儀をした。
 タオルを巻いて、隣りにあるもう一つの浴室へ行く。外を見るような窓はなく、高い場所に明かり取りがあるだけで、狭いこともあって使っていなかった。そこに三人の男たちがいて、もう上がろうとしていた。
 二度洗う必要はないので、真津美は浴室のドアを開けて、脱衣場のマットの上でタオルを落とす。
 ゆっくりと正座して、ここでも挨拶をした。
 すっかりニオイに敏感になっていたが、ここでは急いで洗ったために、浴室洗剤の香りがまだ強く残っていて清潔な印象しかなく、真津美は物足りなかった。
「いつでもいいんですか?」と浴槽に浸かっている若い男。
「はい。これから寝室へご案内いたします」
 二つの風呂場から出てきた男たちは、裸のまま廊下にいる。真津美もタオルを捨てて裸のままで、奥の寝室へ案内した。
 昔の建物は和室がいくつもあり、庭に面した廊下を含めて複雑な構造だった。真津美はそれが好きだった。かくれんぼにうってつけの魔窟だった。
 建て直してしまったため、洋室が中心になっている。真津美がいつも使っている二階は洋室しかない。
 唯一残されたのが、この奥の座敷だった。床の間があり、こじんまりとした日本庭園風の庭に面して、短い外廊下がある。池には鯉のいた時期もあったが、かなり前から枯れ池にしてある。手入れができないからだ。
 そこに布団を敷いていた。白い新品のシーツ。敷き布団だけを二枚。目的が明確すぎるほどだ。
「どうぞ」
 直人を含め七人の男たちが入ると、あの獣臭がたちのぼり、真津美は体が熱くなった。
 その熱さは、どこかで冷めてしまうかもしれない。それならそれで、終わりにできる。
 ところが、月曜の朝、いつものように出勤するときもなお、これまで感じたことのない熱さが体の芯に残っていた。
 不思議なことに、その熱によって自分は生きているのだと真津美は感じることができた。いままで得たことのない実感があった。肉体のあちこちに残る痛みや疼きさえも、その熱があれば気にならない。
 むしろ、痛みや疼きは、熱の発生源になっているのかもしれない。
 真津美は自分で長く思い続けて、部分的に試してきた仮説が、遂に実証されたすがすがしさの中にいた。
 これからは、この熱と共に生きるのだ。
 IDカードをかざしてビルの入り口を通過する。そのとき真津美は、横に立っていた警備員に微かに見覚えがあった。
 エレベーターに乗ると、直人が駆け込んできた。知らないふりをして三十五階で降りる。軽くみな挨拶をして、それぞれの職場へ去っていく。
「なんで返事をしてくれないんですか」
 直人が囁くように背後で言う。
 週末は一切、携帯に出なかった。真津美は悦楽を振り返り、全員の同意のもとに撮影されていた動画を見た。音量を大きくし、外にまで聞えるほどにして。
 自分の声はみっともない。フェラをするときにはもっと丁寧にしなければ。何人もに挿入されたときよりも、連続のクンニは死ぬほどの悦楽だった。そのときの声は、恥ずかしくて耳をふさぎたくなる。
 でもこれが自分なのだ。真津美はそれを目に耳に焼き付けた。
 今朝通勤中に直人からメッセージがかなり入っていた。中には「会名は『若鮎の会』となりました」とあった。
 あの別荘地は鮎の産地に近く、あの日も全員に地元にある老舗旅館からケータリングした鮎を含めた御膳をふるまった。
 昼の明るいうちから淫らな行為にふけり、だるい体で食事をし、夜も果てしなく狂った。
 三々五々、彼らは帰っていき、真津美は日曜日もそこで一人で過ごして今朝、出勤したのだ。
 次回、つまり今度の土曜日も「若鮎の会」は開かれる。そのことについて、いくつかの要望や提案があった。
 真津美は仕事に集中していたが、直人は落ち着かないようだった。なぜ彼がそんなにそわそわしているのか真津美にはわからなかった。セックスをした相手がそこにいるからか。今週も一緒に淫らな行為にふけることがわかっているからか。
 今朝目が合った警備員もそうなのだろうか。



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 現在の掲載の目安

※2020年10月20日からは下記の作品を掲載します。
『インサイドアウト』
『奴隷未満(期間限定Ver)』
『荒縄工房短編集』
『奈々恵の百日(続・許諾ください)
『お嬢様はドM3(完結編 期間限定Ver)』
『新版 共用淫虐妻・千春(期間限定Ver) 』
 随時、短編、コラム。
 妄想絵物語(イラスト・月工仮面さん)など。

……

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ペンネーム「あんぷらぐ」
1970年代からのSM小説を読み、書き。「仲ゆうじ」などのペンネームで「SMセレクト」などに小説を書かせていただいておりました。
未発表作、新作などを随時、お読みいただきたいと思っています。
2019年「あんぷらぐど」表記から「ど」を取って「あんぷらぐ」へ改名。

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