インサイドアウト 第二話(その3) ヒクヒクと動いていた
「うううぎいいいい」
奇妙な声の主はすぐ近くにいるのに、どこか遠くの山から聞えてくるようだ。
真津美はブロック塀に向けて噴射する。
室内では笑い声が起こる。
これは、おもしろいことなのか? 直人は驚くしかなかった。
知り合いの痴態には、何回かの若鮎の会で克服したつもりだったのだが、いまはまた、鳥肌が立つ思いだった。
仕事以外は無関係と言える立場とはいえ、知人以上の存在で、友人と言えなくもない真津美のとんでもない姿に衝撃を受けていた。
苦しげだった真津美に、排泄が派手な放屁で終ると、安らぎのような表情が浮かんだ。
彼女はこれを愉しんでいる。
「やってみるか?」
柏田に促され、直人はずっしりと重い浣腸器を手にしていた。
ただの水だが、浣腸器には細かいメモリがついており、いっぱいに入れれば五百ミリリットルだとわかった。
「ウソ、だろ」
さっき、柏田たちは何回浣腸をしたのか。三回どころではない。柏田だけで二回、男たちが四回はしていた。
「三リットル?」
「気付いたか。前回、真津美に浣腸をしてみたんだ。彼女は慣れていたんだ。自分でやっていたようだね。だから、今日はこのぶっといやつを持って来たわけだ」
柏田は笑みを浮かべている。
その世界は人間として外れたところにあるのに、こんなにもみんなが笑うのはなぜだろう。直人には理解できない。
これは医療行為だ。つまりシロウトが手を出すには危険な領域だ。そもそも誰も衛生についてまったく考えていない。
真津美の濡れた肛門が、ヒクヒクと動いていた。
「やるの? やらないの?」
室内の男たちはもう笑っていない。直人は仲間じゃないかもしれない。だったら、排除しなければと思っているのではないか。怒りのこもった圧力を感じる。
直人は指ほどの太さのある嘴管を肛門にあてた。すると求めるようにそこが緩む。
真津美は求めている。
直人はゆっくりと先端をあてて挿入していく。
「しっかり根本まで入れるんだ」と柏田。彼だって医者でもなんでもないはずだ。胡散臭い経営コンサルタントである。彼自身は会計士でも税理士でもない。そもそもそういう資格試験を受けたことさえないだろう。
胡散臭いとはいえ、違法行為や逮捕歴はない。彼自身はとてもクリーンで顔が広い。誰もが彼のことを好んでいる。だから声をかけたのだ。直人の大学時代の友人の親戚だった。
「ゆっくり押して」
シリンジのプランジャーを押す。キュルキュルとガラスの擦れ合う感触とともに、水が押し出されて真津美の中へ注がれていく。
その奇妙な手応え。
最後まで押し切る。
「引き抜くんだ。ちょっと回すようにすれば簡単だよ」
柏田に言われるままにわずかに右に回しつつ引き抜いた。
プルンと肛門は水を弾きながら閉じた。
真津美は漏れないようにすぼめているのだろう。その表情を見ると、眉をひそめ、目を閉じていた。
呆然としている直人の手から浣腸器が奪われた。部屋の中から伸びた手が、それをバケツに突っ込み、水を吸い上げていく。そして直人よりも乱暴に柔らかで繊細な排泄器官に突き入れ、ぐいぐいと勢いよく注ぎ入れていく。
彼らは前回にもやっていて、慣れているのだ。
今度はしっかり数を記憶する。直人、男たちで五本、そして柏田が真津美の腹部と表情を確認しながら、さらに二本追加した。七本目は、ときどき肛門から水が漏れ出していくので、柏田は腹部を撫でて腸の奥まで入るようにしながら、とうとう入れ切った。
漏れた分もあるので正確ではないが、三リットル以上入っている。
「真津美はね、前回四リットル入れたんだ」と柏田。「かなり危険だから、薬は入れていないけどね。水だけでも危険だけどね」
真津美はすぐに排泄せず、必死に肛門を締めて耐えていた。
その苦しさ。恥ずかしさ。
彼女がこんなことをしているのを目の当たりにして直人はゾッとするほど恥ずかしかったのだが、だとすれば、真津美はどうなのか。同じ職場にいる直人に見られ、浣腸されたのだ。
そして排泄する姿を見せなければならない。このままずっと我慢しているわけにはいかないのだ。
雨で濡れていた肌は、いつしか彼女の全身の毛穴から吹き出す汗で濡れていた。額からは汚いパンツに汗が滲み、それが滴り落ち、鼻に垂れ、汚い靴下でいっぱいの口に流れ込む。
縄のかかった手もじっとりと汗ばんでいる。
やがて、「ぐぐぐっ」と声を上げて、小便を漏らし始めた。
「二度目だからね。さっきのもあるんで、腸から吸収された水分がかなり膀胱に溜るんだよ」
他人に見せることのない姿を、なにもかもさらけ出す。それが彼女の望む快楽なのだろうか。
「出していいぞ」と柏田が、真津美の尻を塀に向けてやる。
ビューッと一直線に塀まで飛んでいく排泄。
急いで彼女の顔を見ようと位置を変える直人。どうしても確認しておきたい。そうだ、やっぱり、あの放心したような美しい表情。幸せに亡くなった者が見せるような……。
何度か、断続的に排泄をしたあと、なにも出なくなる。終ったのかと思ったら、今度は柏田はシリンジに空気を吸い、それを真津美の中へ注入した。
そのせいで、奥に残っていたものが放屁とともに噴出する。
パッと目を開いた真津美は、そこに直人を見て、恥ずかしさに身もだえしている。よく見知った人間にそこまで見られ聞かれる。
二度目の空気浣腸では、スーッと大した音もなく、空気だけが排泄された。
柏田はそれを確認し、わずかに残ったバケツの水を汚れた尻にかけた。
手首の縄を緩め、首にかかった縄を外してやる。口の中のものやパンツもそのままに、背中を押して部屋の中へ。
腰が抜けたようになっている真津美はそのまま男たちの手によって連れ込まれていく。
縄を解いて束ねている柏田の横で、真津美の肉体に群がる男たちを見つめているしかなかった。
若鮎の会とはまったく違う。野獣の檻に投げ込まれた生肉だ。布団もない。ボロボロの畳の上で、ひたすらペニスを突きつけられ、真津美はそれを積極的に口や膣や肛門に導いている。ときには騎乗位になる。一人を下で受け入れながらお尻を突きだしてアヌスへの挿入も許す。
直人がこれまで彼女と交わったとき、男たちは彼女に気持ちよくなってもらおうとしていた。何回もいかせようとしていた。そもそも同じような輪姦でも、表と裏ほども違う。あのとき、男たちは、どうやって真津美をより輝かせるか、絶頂に連れて行けるのかを競いあっていた。
その上でのヴァギナとアヌスの二本差しであったり、少し乱暴にイラマをさせてみたり、座敷の上での破廉恥な行為に突き進んでいったのだ。
彼女からは妊娠の恐れはないと説明されていたものの、男たちは紳士協定として避妊具を付けた。風呂も度々入った。彼女を不潔にしないためにトイレに行ったあと、風呂で洗ったりもしていた。
ここでは、直人たちの気配りが、まったく意味をなしていない。
「ひいいい、あんあん」と悲鳴と甘える声が同時に真津美から流れ出ていくような、阿鼻叫喚に近い世界だ。
男たちの異臭の酷さもあるが、そのろくに風呂にも入っていない肌を彼女に押しつけ、磨いたことのない歯で噛みつき、普段は安い酒だけがその上を通って行く舌で舐め回す。

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水絵は拒絶しながらも体は求めてしまう。被虐世界に流されていくOL。発端はAV出演疑惑。同僚たちに裸にされて比較され、やがて同僚たちの嗜虐性に火をつけてしまう。奴隷として私物を没収され、野外露出、浣腸、拡張、種付けとエスカレートしていく。
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