奴隷未満(期間限定Ver) 27 火の玉みたいな熱いもの
彼女の手に、わたしのスマホ。
「ぐうううう、ふ、ふざけんなよー」
ああ、もしわたしに超人的パワーがあれば、一瞬で手錠をぶっちぎり、縄を切断して彼女を壁に投げ飛ばしていたでしょう。
だけど、現実は手も足も出ないのです。のろまな亀以下です。
「指紋認証しまーす」
むりやり、ロック解除。
「あら、あなたって、女の子にお尻を叩かれるのも好きなんじゃない!」
それは福田さんとの例の映像です。
「これ、カラオケ? こんなところで、輪姦されている! なんて子でしょう。淫乱肉便器ちゃんなのね!」
誰か勝手に撮った映像。
あ、それで思い出した。あいつらと、アナルセックスする約束だった! お尻の穴を洗ってあそこへ戻るってことで。もう忘れているかな。わたしも忘れていたんだから、あいつらだって……。
わたしの予定は必ず誰かに邪魔される。
これは宿命なのでしょう。宿便ならぬ宿命。
「万結の奴隷として足りないところはいっぱいあるけど、お口とお尻のトレーニングをきちんとしないとダメね」
「だから、それは……」
貴史様に調教していただくのです。
「総治さんの奴隷になったら、きっと、永遠にあなたはいまのまま、なんにも変わらずに年だけ取っていくでしょうね。彼はそういう人です」
あなたに総治のなにがわかるの、と叫びたいところですが、正直、わたしだってなんにもわかっていないし、よく考えてみれば彼のことなんてこれっぽっちもきちんと考えたこともなく、ただただ便利に登場してもらっていただけのような気がします。それは、いかにも彼にとっても申し訳ないし。
そもそも彼とまぐわうことができただけでも、いま思えば奇跡なのかもしれません。
そのとき、ハッと思ったのです。もしかして、わたしの体が気持ちよくなかったんじゃ?
いま思い出しても、時速三百キロでサーキットを三周しただけ、みたいな気もしなくもなく……。あこがれのスーパーカーでも、それに乗って激しいGを浴びたあとにも、「また乗りたい」と思う人はそう多くはないのではないかも。
あ、わたしがスーパーカーだと言っているわけではありませんよ、もちろん。フェラーリだと思ったら軽トラだったみたいなこともあり得るかもしれません。
いえ、もちろん軽トラだって毎度おなじみ「ポツンと一軒家」とかでは、山間部の細い細い道をガンガン上っていくような小回り利いて便利な存在だから、バカにしているわけじゃないんです。
軽トラというか、中古車というか。いえ、わたしはそこは中古ではないわけであって、新品ではあったと。処女だったと。その価値は、おそらくわたしだけが信じていた価値であって……。
「ほんと、いいニオイ」
「な、なにしてるんですかあ!」
気付けば、彼女(まだ名は覚えていない)は、わたしの肌に触れそうなほどギリギリのところに顔を持って来て、そのせいでときどき鼻の頭が当たったりしているのです。
それが、腕、そして脇へ。
なにもされていなのに、くすぐったくなるってありますよね。くすぐられる直前みたいな。
「ぎゃははは、ああ、だめ、だめだからあ!」
思わず叫んでいました。
「素敵よ、万結。わたしの奴隷ちゃん」
「や、や、やめて、やめて、やめて! くすぐったい! 死ぬ、ひー、ひー、ひー」
過呼吸。
暴れても彼女は平気らしく、嗅ぎたいところを嗅いで楽しんでいます。
こんな変態女が、研究所にいるとは……。まさか変態の研究をしているわけではないでしょうし。まさか、嗅覚の研究とか?
彼女の顔が足へ飛びます。足の臭いを嗅がれるって……。
「ミルキーな香りね。そう、チーズというよりはいぶりがっこを入れたタルタルソースのような……」
とかなんとか、ぶつぶつ言いながら、彼女はすっと滑るようにだんだん上がってきます。
「あうううう」
涙目のわたし。
「お、お願いです、くすぐらないで。もうやめてください!」
なんとか言葉になったものの、すでに彼女の頭部が股間へ。髪をうしろでしっかりまとめていて、うなじも肩も、脂がのったというか、美しく輝いています。彼女も発汗しているのです。
「なんて、素敵なのかしら」
「やめてっ!」
指であそこを開かれました。
意識のないときに点検されたらしいけど、意識があるときにそんなことをされるなんて……。
「なんてナマナマしいんでしょう。こうして間近で見て匂いを嗅ぐと、自分が処女だった頃を思い出すわ。そうよねえ、こんな風に、突然、そこだけいやらしい感じがするのよね。涎を垂らして」
クチャクチャと音を立てるのです。強引に陰唇をパクパクさせて。
とんでもなく、恥ずかしい……。
「やめてください、お願いですから」
「奴隷の願いなんて、主人にとっては、なんの意味もないものだわ。鳥のさえずりの方がよほど意味があるでしょうね。仲間を呼ぶとか求愛するとか」
彼女はそう言うと、とうとうなにかを押しつけてきたのです。
「はー」と息を吐きながら顔をあげます。
鼻から唇へ、わたしの淫らな液体に光っています。
「万結の膣」
そうつぶやくと、べろっと舌を伸ばし、下から上へ舐め上げたのです。
「ひっっ」
「ふふふ。男としたことはあっても、こんな風にされたことはないんでしょ? オーガズムは経験したの?」
「わかりません」
「でしょうね。そういうもんです。あなたぐらいの子は、わかっている子とわかっていない子に分かれるけど、あなたもわかっていない子だとすぐわかるわ」
「ど、どうして……」
「クンニリングス、知ってる?」
聞いたことはあるけど。
「クンニ?」
「そうそう。クンニ。女から喜びを引き出す方法。これもセックスよ。男のものをぶち込んでピストンするだけがセックスじゃない。接吻も、ニオイを嗅ぐことも、こうして舐めることも、甘噛みすることも、指でいじることも、すべてセックスだわ」
「はああっ!」
舐めたところを、指でいじられる……。
なんか、火の玉みたいな熱いものがこみあげてきて、それがわたしの体の中を飛び回っています。ときどき火の玉はいくつかに分かれて、頭の中や指先にまで到達したかと思うと、ふいにぶつかりあってバーンと弾けます。
「こ、これが、オーガズム?」
「ちがうわ。まだまだよ。こんなのアペリティフにすぎないわ」
「あぺ?」

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