物語の物語 思想の押し売りに注意
聖書をはじめ、古い物語は宗教の成り立ちなどを示し、教えを残し、さらに宗教の持つ考え方を共有してインストールするために役立ってきたわけです。
また、苦い薬を飲むためのオブラートの役割も担っています。簡単に言えば「聴きたくない話を聴かせるためにおもしろくする」といった点があるわけで、この「おもしろくする」だけに特化しているのがエンタメ系の作品だと言えます。
ですが、エンタメ系でも主人公達の考え方などはある一定の思想、宗教などによって規定されていますので、物語の主な役割ではないとはいえそこに著者の思想が反映されてしまうことになります。また、著者の考えが反映されていない作品は、おもしろくないし、共感もなければ反発もなく、残りにくいでしょう。
かといってゴリゴリに思想を押し売りするような作品は、一部のマニア(信者)には受けるとしても、時代の波に飲まれて忘れられていきやすい。たとえば三十年前のバブルな頃の発想で書いた作品は、いま読むとおもしろいところもあるけれども「なにこれ?」となりやすい。
それでも人間は好きな思考方法がある以上、登場人物たちにもそのような発想と行動が備わってしまうことが多くなります。
ただそこで、私などもそうですが、自分の考え方そのものの登場人物を中心には据えず、脇に持って行くように配慮するだけで、物語はかなり読みやすくなり、押しつけがましさが減少します。さらに巧みな作者は、自分の考え方を悪役や比較的早く死んでしまうか物語から消えてしまう人物に投影させます。
物語全体は著者の発想によるものですから、その中の一部だけを抜き出して「これは著者の思想そのものだ」と決めつけることは難しいはずですし、あまり意味はないことです。とはいえ、読者としてはそう考えてしまうことが多いし、その勘違いは著者の別の作品を読むことで訂正されていくこともあります。もっとも1冊しか読まない場合は、ずっと勘違いが続いてしまうのですが……。
同じ考え方、同じ思想の人しか出てこないと、おもしろい物語にはなりません。教訓的な内容を盛り込んでしまうのも、エンタメではやり過ぎ感が強く、著者の考えが前面に出やすくなるので私は好きではありません。
少なくとも思想の押し売りにだけはならないように気をつけたいものです。
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