日曜日の奴隷たち 36 無慈悲欲求(7) 最終回
袋をどこかに捨てに行き、手を洗ってきた彼は、再びサッシを開けた。
「まあ」
佐恵は全裸になっていて、小さな池の横の飛び石に排泄していた。それは露木が見てきたような量の少ないものだった。
服は汚れているはずだが、きちんと畳まれてはいた。
その横で正座している。目を伏せて、手を腿にそろえている。
「至らぬ奴隷でしたか?」
まるで出来の悪い子を諦めるようなため息。
「不思議な奴隷、ですね」
「ほう」
露木は引き受けた経緯を薦田に告げた。
「それはご迷惑をおかけしました。佐恵は私の躾けのせいか、いささか風変わりな奴隷になってしまいました。なかなかご理解いただけないのもムリはありません」
「もしかして、理解者を探すために彼女を?」
薦田は薄く笑った。
「忍耐強い子です」
露木たちのリモコンバイブは腸内のものは一緒に排出されてしまったが、まだ性器に入っている。
股縄と上体の縄が、細身の佐恵には痛々しく、この光景をモノクロにすれば母親によく似ていた。
「ただ、口の利きか方をしりません。私は佐恵を独占し、自分だけで育てました。学校には行かせていません。友達もいません。一切の社会性を奪い、奴隷として生きるしかないように育てたのです」
かわいそう、と和代が声には出さず口の動きだけで露木に言った。思わずうなずいていた。
「なぜ、そこまで?」
「私のエゴです。当初は亡き妻の希望でもあったので、それに従うつもりではじめましたが、しだいに佐恵を特別の存在にしたいと思うようになって」
親が子を正しく育成しない。それは犯罪である。佐恵の人権は踏みにじられ、自分で自分の人生を選ぶことができなくなった。
「佐恵はいま形だけは女子大生ですが通信制です。学生らしい生活はしていません。私も年を取りました。だけど佐恵はこれから一番いい時期を迎える。このまま閉じ込めておくわけにはいかないと思ったのです」
誰か彼女を理解してくれるご主人様がいれば、ということか。
憤りながらも露木の股間は熱く硬くなっていた。引き受けてから毎日のように佐恵を使ってきた。その具合は20代らしいよさがあった。頭ではこれほどまでの父親に憤り彼女を憐れんでいるのに、だからこそ佐恵を犯したい。
汚れた体を隠すことなく庭で待機する彼女は、確かに自分の居場所に戻ってきた安堵があるようだった。
「ここで一生、過ごしたいんじゃないですか?」
余計なお世話をしそうになる自分を叱りつけながらも、そんな言葉が出てしまう。
「え?」
「彼女は、いつかこうして、ここに戻されるのではないかと期待して、どこに買われても悪い奴隷であり続けたのではないですか?」
薦田の調教はみごとで、苦痛から悦楽を得る被虐の体は完璧なのだが、そうやって佐恵は感じたり浸っていながらも、どの主人も認めないのだ。
「もう少しでリンチされるところだったんです」
ちらっと破滅的な奈美が露木の脳裏をよぎった。彼女の存在があったがために、佐恵も同じような破滅的願望にとらわれていると思ってしまった。
まったく違うのだ。彼女はリンチを望んだのではない。ここに戻されることを望んだのだ。そのために肉体に決定的なダメージを受けてもいいとさえ思ったのだ。ほかに彼女にはできることがなかったから。
「すでにある金額が動いてしまっています。でも、市場と買い主に事情を話せば買い戻すことはできます」
完全にお節介だ、と露木は胃が痛くなった。そんなことをするために自分は生きているわけではない。人の運命を左右するようなことに、関わるつもりなどなかった。それなのに、リリアン、和代、奈美、そして佐恵と、それぞれの人生にちょっとだけ余計に踏み込んでしまう……。
「くうううう」
和代の熟れた裸体が庭木を背景にくねる。
佐恵は地面に転がされて、ヴァギナとアヌスに長い棒を突き入れられている。その棒は細いカエデの幹にくくりつけられ、薦田が木をゆさぶるとそのまま振動が激しく肉をえぐる。
和代は露木のものを背後から受けながら、乳首を針金で縛られ、同じカエデにつながれていた。
「あなたたちは、いつでも歓迎です。ここを自由に使ってください」
薦田はうれしそうだった。
「久しぶりに使えそうだ」としゃがみながらペニスを佐恵の口に入れる。
和代と楽しみながら露木は、その変わった父娘を眺めて興奮していた。同時に、いつかリリアンとなにかしら決着をつけなければならないとも感じていた。
いつまでもリリアンをあのままにしておくことはできない。かといって、彼女が望むようなことをしてやる気にもなれない。薦田のようにはなれないのだ。
薦田と佐恵は血がつながっていないという。しかし、露木とリリアンは……。
「ああっ、痛い! だめ、感じる!」
今週は責めはないと思っていただけに、和代はうれしそうに乱れた。
「悪い母親だな。今夜はなにを作るんだ?」
「こ、コーンクリームスープと、子羊のロースト」
「本当に自分で作るんだろうな?」
「もちろんです。コーンはカンヅメですけど。子羊は……。あっ、あっ、だめええええ!」
和代のアクメが続く中で、薦田は娘の喉に精を放っていた。
露木はこんな日曜日がいつまで続くのかとふと思うが、自分もクライマックスが近くなって、とりあえず考えることはやめにした。
おわり
★お読みいただきありがとうございました。『日曜日の奴隷たち』は今回で最終回です。この作品で描きたいことはほぼ書き尽くしてしまいました。ただ、今後、不定期で復活することはあるかもしれません。その時はよろしくお願いいたします。
なお、以前からご案内していますように、これからは連載作品を2作品にいたします。この連載の終了で、土・日・月は作品の更新が基本的にはなくなります。コラムおよびこれまで「SM研究室」で書いていたものなどをこちらで継続します。引き続き、荒縄工房をよろしくお願い申し上げます。 あんぷらぐど(荒縄工房)

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裏ドM~私は本当はド変態マゾなんです。~ 桜井あゆ