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『隷獣 2』 63 彼は、そう言ってわたしを抱きしめたのです

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「あなた、獣になったの?」
 どうせ開口器で言葉は発することができないのです。
 あれだけいた男たちが全員、どこかへいなくなっていて、いまここにいるのは京子と郁美だけです。
 倒せるかもしれない……。
 なぜか、そんな気がしました。
 ワゴン車の屋根をぶち破ってきた郁美のイメージが甦ります。あれは隷獣のパワーなのかもしれません。
 わたしにも、それがあるのでしょうか。
 下腹がチクリと痛みました。見ると、リングで閉じられた割れ目から血が滴り落ちていました。生理になったのです。ただ、その出血量はいままで経験したことがないほどで、赤黒い血がおし○このように噴き出しました。
「きゃー」と京子が叫び、逃げました。
「落ち着いて、志絵乃。まだあなたには制御できないわ」
 そんなことは関係ないのです。わたしは熱い。そして脳内の新しい領域が言語にならないなにかをスパークさせています。
「おおおおおおお」
 原始の叫びが口をついて出ました。
 その直後、郁美の体が数メートル、吹き飛びました。
「はあ、はあ、はあ」
 荒い息をするわたし。
 自分がなにをしているのかもわかりませんが、これは、あのとき郁美がワゴン車の後ろのドアを吹っ飛ばしたのと同じ力かもしれません。あれはてっきりなにか武器を使ったのだろうと思っていましたが、わたしは指一つ、動かしていないのです。指は木でできた人工の蹄を掴んで縛られているので、どうせ動きませんが……。
 足にまとわりついていた鎖もちぎれ飛んでいました。
 次に脳が真っ白になったとき、熱いわたしの中のなにかが大半、吹っ飛びました。
 それはとても気持ちのいいことで、生まれてはじめて、自分が素直に生きていてる喜びを感じました。
 冷たい風が体を包みます。
 建物の外壁が人が通れるぐらい、吹き飛んでいました。京子はその横で倒れています。郁美も巻き添えを食ったらしく、その近くにうつ伏せに倒れていました。
 そのとき、建物の中のすべての照明が真っ白になるぐらい明るくなりました。
「隷獣、みっけ」
 甲高い声が聞こえてきました。
「それも最高の隷獣じゃね?」
 いかれた野郎の声にしか聞こえません。
 やがて、それは細くて黒い影のように、揺れながら素早くわたしのところにやってきました。
「かわいいじゃん」
 こみあげくる熱いエネルギーが、その生意気な影をぶっ飛ばそうとした瞬間、彼がなにかをわたしにしました。
「あっ」
 彼の小指でしょうか。鋭く耳の後ろの柔らかな肉に突き刺さっていました。
「ぼくはね。隷獣のことはなんでも知ってるんだ。ほかの誰よりもね。だからぼくは生き延びた。ほかの連中は全滅さ」
 あれだけ制御不能に思えたエネルギーが吸い上げられていきます。
「まだ若いね。力に気づいたのはいつ? どれぐらいの力かもわからないんでしょ。使い方も知らない。ダメだよ、そんなことじゃ。ちゃんと隷獣の修業もしていないよね」
 小指が食い込んだままですが、彼は左手で乳房に埋め込まれた金具を触ります。
「昨日か? つい最近だろ、これ。かっこだけの隷獣じゃなあ。だけど、君には素質はある。だいたいこの力に気づくまでに半年ぐらいはしっかり隷獣修業をしないとダメなんだよ。もちろん、気づかないままのヤツもいるし、そもそもそういう素質がないヤツもいるからね。ま、それでも半年やれば素質のないヤツは死んじゃうし……」
 彼は、そう言ってわたしを抱きしめたのです。
 彼の熱い吐息を耳に感じます。細いけど強靱な体の持ち主のようです。背も高い。頭一つ、上のようです。
 冷たい感触を耳たぶに感じました。
 舐められている……。
「うーん。なかなかいい味だな。志絵乃って言ったっけ? 母の名は美貴江だよね? 隷獣の美貴江の娘だもの。素質がないわけがない」
 そいつは、なにもかも知っているのです。
「じゃ、行こうか」
 え? どこへ?
 言葉も出せませんし、体も自由には動きません。
「黙ってついてくるんだ」
 催眠術かのように、わたしは彼についていくしかないのです。
 わたしが壊した壁の穴を彼は素早く通り抜けました。わたしも続きます。肩も痛くないし、足につけられた蹄も苦ではありません。むしろ以前より速く走れるような気がしました。
 必死に闇の中を彼の背を追って走りました。
 薄暗い倉庫街を抜けると、やがて桟橋に出ました。ここは埠頭に面していたようです。
 小型のボートが待っていました。
 彼はなにも言わず、つないでいたロープを外して飛び乗りました。わたしも、なんのためらいもなく飛び乗りました。彼はわたしがついて来ない可能性をまるで考えておらず、当然のようにわたしを受け止めました。
 力強くモーターがうなり、ボートは舳先を突き上げるようにして水を切って進み始めました。彼は片手で操作しながら、片手でわたしの腰を抱いています。
「ステキだろう。見てごらん」
 東京湾の夜景。
 明滅する赤や青のライト。そして白いライトがいくつも星のように連なり、工場や倉庫や埠頭をクリスマスツリーのように飾っているのです。レインボーブリッジが接近してきます。
「かわいいよ」
 彼にキスされました。
「あうっ」
 心臓を切り裂かれたような痛み。


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