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君の泣き顔が見たい 61 最終回 破裂

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「成約したの?」
「はい」
「おめでとう。抜いていいよ」
「ありがとうござます」
 麻紀はそれを引き抜いた。密壺からどっと淫汁があふれる。
「あいつらを放してやってくれ」
「はい」
 麻紀は便利な存在だった。奴隷であり、経営者だ。ぼくは仕事をしなくてもいいような気もしたけれど、他人が幸せそうに暮らすマンションの清掃業務は嫌いではなく、管理人さんとはいい関係を続けたかった。それに、仕事をやめるのが怖かった。微かに残っている自分の表向きの顔を、残しておきたかった。
 美冬も千里も行き場を失っていた。彼女たちの家族は神先のところでどんな姿で発見されたのか、知っている。そして、当然のように彼女たちを拒絶したのだ。
 もっとも彼女たちも、家族に救いは求めなかった。
 麻紀だけは、事業があったのでほぼ以前のままに戻ることができた。麻紀の罪、麻紀のウソとは、彼女は最初から神先と組んでいたことだ。美冬の結婚によって不動産管理会社の夫の存在を知る。倒産しかかっていた麻紀の父親の会社は、麻紀が神先に相談し、美冬を利用してそこから仕事や資金を得るようになって持ち直した。
 美冬の親たちから、ぼくに不利になる証言をすることを求められた。麻紀も美冬たちも、すべての責任をぼくに被せるように口裏を合わせていたのだ。
 美冬は麻紀の手引きもあって、神先の奴隷となった。千里と同じように。
 ぼくが出所するとき、神先は自分のところへ来ればよし、来なければ麻紀のところで面倒を見させることを決めていたという。
 そして美冬をエサにしてぼくを取り込む。
 すべては神先のシナリオだったのだ。
 もしかしたら、あの日、食堂で彼が微笑みながらぼくに告げようとしたことは、そのことだったかもしれない。それとも、ぜんぜん違うことだっただろうか……。
「はあっ」「ふうう」
 猿ぐつわを外されて、美冬と千里はようやくホッとしたようだ。
「はい、ご褒美」
 麻紀はコンドームを彼女たちに配る。美冬と千里はそれをむさぼる。誰とも知らぬ精液を舐め取る。
「すっかり痣もなくなったわね」と麻紀は彼女たちをかわいがる。
 いま解いた縄目がくっきりと肌に残っているものの、神先やぼくに痛めつけられた肉体は回復しつつあった。乳房の表面に点々と変色しているのは串の痕だ。一生、消えないかもしれない。
「美冬に印をつけよう」
 きれいな体になったからこそ、それは似合うはずだ。
「あれを使うんですか?」
 麻紀が懇意の古物商から貰ったものだ。古民家風リフォームに使う火鉢などをそこから購入していたのだが、そのガラクタの中に麻紀を興奮させるものがあった。ハガキほどの大きさの鋳物で、四角の中に漢字が浮かぶ。ラッパ水仙のように柄がついていたはずだが、根元で折れていた。
 四角の枠の中に反転した「畜生」の文字。
 サビていたそれを、ぼくはワイヤーブラシや薬品を使ってきれいにした。こびりついていたのはサビだけではない。なにかが付着していた。実際に使われたのだ。相手は動物ではない。家畜に畜生と焼き印を押しても意味はない。畜生に見えないものに押したのだ。
 そういう物がぼくたちの元にやってくることが、美冬の運命なのだろう。彼女は麻紀を引きつけ、ぼくを引きつけ、神先を引きつけた。
「あ、ありがとうございます」
 美冬はその意味を知っている。だからぼくに頭を下げる。
「ご主人様。今後は美冬と千里にも、体を使って稼いでもらおうと思うのですが……」
 麻紀の提案に、ぼくは微笑む。
「ただし、美冬は、人間以下の畜生として……」
 微笑む美冬。
 コンロで真っ赤に焼いた畜生の焼き印。
「額に押したいわ」と麻紀。
「いずれ」とぼく。
 麻紀と千里に手足を抑え付けられてうつ伏せになった美冬。
 ペンチで焼けた鉄を持ち上げると、その熱気にぼくの髪までチリチリと音を立てそうだった。
 それを美冬の背中に向けた。肩甲骨の下あたりの、やや平らなところに置く。
「ぎゅええええええ」
 断末魔の悲鳴。肉が焼ける。白い煙りが上がる。破けた皮膚から流れた血が瞬時に沸騰する。
 その重みで肉を溶かしながら美冬の中に沈んでいく。
 しっかりと役割を果たした印を引き剥がす。
「きれいにできそうだわ」と麻紀。「畜生」の文字が赤黒く浮かぶ。泣き叫ぶ美冬。消毒液をかけて、ガーゼをあて保冷剤をのせて冷やす。
「ああああ」
 だが、それでは終わらないのだ。ぼくはもう一度、印をコンロで焼く。美冬を仰向けにさせる。背中は針のムシロだろう。
「額に、押してください!」
 美冬は泣きながら懇願する。
 ぼくは顔を左右に振る。そして指先で、滑らかな乳房の形を確かめる。まだ千里のように垂れてはいない。張りがある。
 下乳から鳩尾へと指は彼女の肌を確かめる。
 そして焼けた印を鳩尾とヘソの間に置いた。
「ああっ!」
 のけぞって腹筋が動くと印を払い落としそうになるので、ぼくは強く押しつけなければならなかった。
「美冬」と麻紀が言う。「畜生になれたわよ」
「うらやましい」と千里。「わたしもそこまで愛されたい……」
 十分に押しつけたあと、ぼくはそれを流しに放置されたままの鍋の中に入れた。中に溜まっていた水が沸騰し、鋳物は大して音も立てずに割れた。畜生の文字は、バラバラに壊れてしまった。
 役割を終えて、喜んでいるように見えた。

 おわり

★長らくお読みいただき、ありがとうございました。「君の泣き顔が見たい」は今回で最終回となります。ようやく完結できて作者としてもホッとしています。この結末は書きはじめたときには予想していないものとなりました。いつもそうだというわけではありませんが、今回はとくに自分としては意外な終わりとなりました。お楽しみいただければ幸いです。あんぷらぐど(荒縄工房)


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1970年代からのSM小説を読み、書き。「仲ゆうじ」などのペンネームで「SMセレクト」などに小説を書かせていただいておりました。
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