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メロー・マッドネス 49 標的になるしかない

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「利満さん!」
 なぜか梨々花はその刑事に抱きついた。2人はそのまま床に倒れた。
「見ましたか?」
 利満はその言葉が聞こえないようだった。無数の銃弾がすぐ手の届くところを飛び交い、4階にいた人々を八つ裂きにしているのだ。報告書を上司に提出しようとした刑事の腹部が破裂してそのまま頭から灰色の机に落下する。手にしていた報告書は上司の肩にぶつかる。その上司も後頭部を撃ち抜かれて顔面を失っている。
 床に伏せることができた数名を除き、「なにがあったんだ」と窓を見ようと中腰になった者たち、たまたま歩いていた者、ロッカーからなにかを取りだそうとしていた者などが、体の主要な部分を吹き飛ばされて肉塊と化していく。
 床には銃撃された人たちが撒き散らした肉片や血や脳髄や吐瀉物が制服やスーツの破片と散乱した書類などが混じり合って堆積していた。
 その中を這いずってきた若い刑事が、真っ青な唇で利満になにかを叫ぶのだが、なにも聞こえて来ない。だが、彼はそのまま絶命した。消えていく生命から逃げ出すかのように彼の腸が湯気を立てて床に広がっていく。
 雷雨のようにすさまじい銃撃は波状的に続き、おそらく4回目ぐらいの銃撃が始まっていた。天井が粉々になって落下し、電灯が粉々に砕け散っていく。机の上のものは、書類から電話からパソコンから、そして突っ伏して動かなくなった人たちも、さらに粉砕されていくのだ。
 削られた建材やコンクリートの破片、紙片、そして血と肉片が凄まじい勢いで宙に舞っていた。除雪車で吹き飛ばされていく雪のように。
 警察が襲われている。
 あまりにも乱暴なやり方で。
 それは梨々花にもショックだった。自分にとっては怖い場所だったが、まさか直接、パラボリカが手を出すとは思えなかった。それに警察にはすでに浸透している仲間がいるのではないか。
 そのとき、梨々花はゾッとした。
 立松紀美子の足首を握り締めていたあの感触が蘇る。
 紀美子だって、パラボリカと組んでいたのではないか。仲間であっても、あっさりミンチにしてしまうのだ。
 パラボリカには、「仲間」という概念はないのかもしれない。
 人間らしさの一切ない組織なのか。いや、組織でもないのかもしれない。梨々花には表現できなかったが、敵は漠然と存在し、浸透し、拡散していくような気がした。
 パラボリカに属しているからとか、属していないからといった区別は意味を持たないかもしれない。
 工藤があれほど慎重で曖昧であやふやな態度を取っていたのも、正体が掴みきれていないからではないか。
 工藤は恐らく最初にパラボリカの存在を知り、藤崎や立松、二村を使ってその正体を探ろうとしたのだ。
 そのとき、工藤は藤崎たちの敵になることで、パラボリカに接近することができたに違いない。
 それでいて、組織でもないパラボリカを把握することもできずに、戸惑っている。
 組織じゃない集団って何だろう──。
 梨々花には理解ができない。想像もできない。だが、パラボリカは実際に活動して人を殺している。
 涙をいっぱい溜めて鼻水を流している利満を、引きずるようにして、廊下へ連れ出す。
 窓は2方向にしかない。別の2面はほとんど窓がない。つまり攻撃は受けない。
 廊下には命からがら逃げ出した者、ひどい出血をしている負傷者、他の階から駆けつけた者などがひしめいていた。
 警察とは思えない無秩序な状態だった。泣き、叫び、怒鳴る。
「来た!」
 誰かが叫ぶ。
 見ると、破壊された窓から1機の武装ドローンが室内に入ってきた。まるで意思があるかのように、カメラで全方向をチェックしている。
 わたしを認識でいないはずだ──。
 藤崎の話が正しければ、梨々花はステルスだ。肉眼で視認されれば、もちろんそこに梨々花がいることはわかる。だが、ドローンのカメラで捉えたとしても、それを操縦している者のゴーグルには映像化されない。
 どのように見えている、いや、見えなくなっているのかは梨々花にもわからない。攻撃できないようにプログラムされているとすれば、梨々花に銃を向けても発砲できないことになる。
 引きずりながら、利満を下の階へ連れて行こうとする。
「待て」
 急に威厳を取り戻した利満は踊り場で立ち上がり、くしゃくしゃの顔を袖で拭うと、「なんとかしなければ」と言う。
「狙いはわたしです」
 梨々花はそれを数回、利満の耳に怒鳴らなければならなかった。侵入してきたドローンが新たな殺戮をはじめていたのだ。音からすれば、すでに1機ではない。やがてここに来る。
「なぜだ」
「わかりません。助けてもらおうと思ってここに来たんです」
「藤崎がやってるのか!」
「いえ。彼も追われています。あれを操縦している人たちは外にいます」
「仲間がやられているのに、離れるわけにはいかない」
「でも、わたしがここを出れば、あれもついて来ます」
「おれには、あなたを守ることはできない」
「わかっています。誰にもできないでしょう。一緒に下までおりて、わたしを追ってくるかどうか、見ていてください」
 ステルスなのだから、梨々花の存在を感知できないはずだが、それでも彼らはなんらかの方法でこの警察の4階にいることを突き止めて襲撃してきた。ということは、梨々花は見張られており、外に出れば襲撃は終わるはずだ。
「なにを言ってるんだ。わかるように言え!」
 怒鳴る利満をあきらめて、梨々花は彼の手を振りほどくように、階段を降りていく。そこには事態に対応をしようと武装してきた警官たちも大勢おり、4階へ突入しようとしている。
 だが、その盾や拳銃は、いかにも歯が立ちそうにない。
 梨々花は急いで外に出た。捕らえられ激しい拷問を受けて痛んだ肉体が悲鳴を上げ続けている。精神的にも正常でいられる自信がない。
 そこは新宿だ。近隣のビルから出てきた野次馬たちが群れをなしていた。
 ドローンは順次、交代をしているようで、飛来しては銃弾を浴びせて飛び去る。中まで入ったのは限られた数機だろう。
 恐怖だけが梨々花を突き動かしていた。
 電波の届きにくい建物内で操縦できるできる者はそう多くはないはずだ。トンネルの中では、すぐ近くに操縦者たちがいたが、ここでは遠くから操っている。
 見回すと、シルバーだけではなく、赤、青、黒などのヴィッツも路肩にいる。その中の近くにいる黒のヴィッツのハンドルを握っている男が、梨々花を指刺して怒鳴っている。
 視認された。
 梨々花は走った。足首も膝も壊れそうなほど痛むが、悠然と歩く気持ちにはなれない。
「待て!」
 利満がついてくる。もう自分には興味がないと思ったのに。
 こうなったら、付いてきてほしくなかった。梨々花には彼を守ることはできないのだから。
「来ないで!」
「待て!」
 4階の窓から3機のドローンが飛び出し、ほかのドローンを引き連れてこっちに向かってくる。
 曇り空。鈍い光。ポツッと頬に水滴を感じる。雨が近い。ドローンの作戦は天候に左右される。敵も焦っている。
 ステルスはウソかもしれない。装置が無効になっているのかもしれない。
 梨々花はゾッとしながら、必死で走る。ここから藤崎が待っているところまで、なんとしてでも行かなければならない。
 右膝から腰にかけて針をネジ込まれたような激痛が走り、一瞬、そこに倒れそうになる。
「ちくしょう」
 叫びながらこらえ、また走る。気持ちは走っているつもりだが、せいぜい早歩きぐらいのスピードだろう。
 真っ赤な「LOVE」のオブジェ。その前で記念写真を撮っている観光客。広場を突き切って、都庁の北側の道に出た。
 出会い頭にタイヤの太い自転車に乗った外国人とぶつかり、街路樹にしがみつく。
「なにしてんのよ!」と怒鳴る。ここで止まったらもう二度と動けなくなりそうだ。その前に判断力も気力も失われていくだろう。そして彼らは今度は自分を殺すだろう……。
 梨々花は避けきれず倒れている外国人から自転車を奪った。なにかを叫んでいるのだが、その男を利満が放り投げるように脇にどかして追いすがってきた。
 ドローンはついてくるだけで攻撃はしてこない。
「どこへ行くんだ! 危ないから建物に入れ!」
 自分がどこかの建物に入れば、そこがまた襲撃される。梨々花は標的になるしかない。藤崎に言われるまでもなく、自分は奴隷なのだ。このあたりいる誰よりも、真っ先に命を捨てるべき存在だ。
 犬を2匹も連れた高齢の婦人になにかを怒鳴られる。かまってはいられない。
 自転車に乗って漕ぎ出す。痛みは背中まで走る。楽になったわけではないが、スピードは上がった。


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