隣の肉便器さん 43 拷問は遊びじゃないんだ
夕方になったとはいえ、まだ明るいのだ。
「そんなところで……」
金井は日本酒で顔を赤くしていたが、だからといって止めるわけでもなく、じっと見ている。
「あああっ」
しゃがみ込んだナポリンは子供のように呆けた表情で僕たちを見ながら、地面に大きな水たまりを作っていった。
公園の奥では子供を連れた母親たちが帰り支度をしていて、こっちに向かってくる。気が気じゃない。
「ごめんなさい」
すると金井は、ナポリンに駆け寄り、スカートをめくりあげると、「悪い子だ」とつぶやいて、バットで腫れ上がったお尻に平手を打ち込んだ。
「あっ、ひっ、きゃっ」
バシバシと平手でお仕置きをする金井。
冷静になったらしく金井はスカートを戻してやる。
「ありがとう」
ナポリンは金井に抱きつく。もしもオサムが日本に戻らないようなことがあったら、ナポリンは金井に飼育されるようになるのかもしれない。彼女の本能だろうか、新しい庇護者にすがりつくのではないか。
美希は困ったような表情を見せるのだが、僕はちょっとムカつきつつ、だけど僕たち夫婦を頼られるよりはマシかな、とホッとする面もあった。
主婦や子供たちが通り過ぎていくと、金井はナポリンの手を引いて公園の中へ。僕たちも続く。
「恥ずかしいことがしたいなら、すればいい」
いきなりナポリンを小手投げのように地面に叩きつけた。悲鳴も出ない。
白いニットが台無しだ。
「四つん這いで歩け」
金井の声に、「はい」とナポリンはお尻を出して這い回る。その横腹を蹴って倒す。
「なにやってるんだ」
「すみません」
すぐにまた犬のように歩く。その尻を蹴る。
「あっ」
頭から地面に突っ伏す。
「おいおい。そんなだらしないことで、どうするんだ。とても拷問なんてできないぞ」
スパルタ式。ただ、ナポリンはいろいろあってもう限界を超えていると思う。だからこそ、金井はいじめているのだろう。このままナポリンが失神でもしてくれれば、あとは看病してあげればいい。拷問もなしだ。
金井は、髪の毛をつかんで引きずるように水飲み場に連れて行き、ナポリンの頭に水をぶっかけた。
「ひいいいいい」
「甘えたことを言ってるんじゃないぞ。いいか。拷問は遊びじゃないんだ。人は簡単に死んでしまうんだぞ!」
見ると、金井は涙を流していた。
「ほんとうに、簡単に死んじゃうんだからな」
なにかあったんだろうな、と思う。そもそもDVで離婚したくせに、ここで泣くのはおかしい。彼は彼で、なにかしら事情を秘めているのだろう。夫婦の間のことは、他者から見れば「DVで離婚したんだって」で終わってしまうことも、もっと複雑でややこしい部分があって当然だ。
「ごめんなさい」
ナポリンは豹変した金井に怯え、そして白目を剥いて失神した。
正直、僕たちは金井の豹変(だからDVなんだろうけど)に驚きつつ、安堵した。
ナポリンを僕がおぶって、マンションに連れ戻す。美希はナポリンのお尻が出ないように背後に立って気を配る。金井はしきりに僕に「すまない」と謝る。
「私たちの不注意で、子供を死なせてしまったんです」
重い話だった。だから、ここでは割愛する。簡単にいえばキャンプに行ったときにふと目を離したすきに幼い三女が川で溺れ死んでしまったのだ。目を離したのは妻。だが、妻は金井が見ていると思い、金井は妻が見ていると思っていたのだから、事故としか言いようがない。
離婚の芽はそこからはじまっていたのだし、金井が豹変するようになったのもそれがきっかけだったのだろう。
娘3人と河原で楽しくバーベキューをしている姿を思う。
僕たちも、オサムが拘束されている事実から目を背けてはいけない。
そんな気持ちになって、509号のカギを開けたとき、そこに大きな革靴とサムソナイトが置かれていてビックリする。
「ああっ、ナポリン!」
居間から走り出てきたのは、日に焼けたオサムだった。焼けすぎて皮が剥がれ、赤い皮膚がまだらになっている。
「オサムさん!」
美希が叫ぶ。
オサムも手伝って、ナポリンを居間のソファに寝かせる。美希は勝手知ったる他人の家で、タオルを持って来て濡れた髪を拭いたりする。
「ご無事でしたね!」
オサムと力強く握手する。
「お騒がせしました」
僕は金井を紹介する。
「あのボードがあったので、すごく心配していたんです。もしや、ナポリンになにかあって、病院とかかもと……」
オサムは野太い声で言う。その声に呼応するように、ナポリンも意識を取り戻した。
「ああ、ご主人さま!」
泣きじゃくる。だが、起き上がることができず、美希が手を貸して座らせた。オサムが駆け寄り、ナポリンを抱き締めた。
「心配させたみたいでゴメンな。砂漠で強盗に遭って、パスポートもなにもかも取られちゃって。近くの家までガイドと一緒に必死で辿り着いたんだよ。それで日本企業の駐在事務所に駆け込んで事情を話したら、僕が逮捕されていることになってるって知ってびっくりしてさ」
逮捕されたのはオサムのパスポートを持っていた強盗たちだった。
パルダ国はオサムの行方がわからず、必死に捜索したらしい。
「よかった、無事で」
ナポリンはそうつぶやきながら、また意識を失っていった。
「ちょっと寄ってくださいよ」
金井に開放廊下で声をかけられた。
あれから2ヵ月。僕たちは肉便器ナポリンを介して、不思議なご近所付き合いをしていた。
幸い僕はクビにはならず、広報は向いていないと営業に回されたのだが、絶対に営業だけはやりたくなかったので、2ヵ月やったら転職しようとしたところ、最初の1週間でトップセールスになってしまい、幸運ってのはどこに隠れているのかわからないものだな、と唖然としていた。
転職活動は継続中だけど、自分に営業センスがあるとは思えないものの、カウンセラーに相談すると「ぜったい向いている!」と言われ、転職するなら営業だとさえ言われてしまい、だったらいまのままでもいいと思いはじめていた。
美希は相変わらず。普通に仕事をし、あまり主婦はせず。ナポリンといちゃつくのが楽しみになっていて「私って、レズだったのかも」と言い出して笑わせてくれる。
もちろん夫婦のセックスも順調だけど、以前のように「子作り」はまったく考えなくなっていた。むしろ避妊している。
金井は……。

★堕ちる AとV 1★

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水絵は拒絶しながらも体は求めてしまう。被虐世界に流されていくOL。発端はAV出演疑惑。同僚たちに裸にされて比較され、やがて同僚たちの嗜虐性に火をつけてしまう。奴隷として私物を没収され、野外露出、浣腸、拡張、種付けとエスカレートしていく。
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