許諾ください 46 最終回 許諾の絆
私だけ、窓の方を回って、彼らの側へ連れていかれました。
「離婚したんだって?」
「はい」
「で、社名を穢しかねないほどの破廉恥行為に及んでいると?」
「はい」
「具体的に言ってみてくれ。どんな行為だね?」
私は美和を見ました。彼女はニヤニヤしているだけです。美和と課長は笑いをこらえています。だから二人で部屋の隅に逃れていくのが見えました。
入り口のすぐ横には三号が私の服を持って直立不動で立っています。
「毎日、見知らぬ方々に輪姦されています」
ようやく言葉が見つかりました。
「輪姦?」と部長にはピンと来ないようです。人事の人が部長に耳打ち。
「そんなことを……。いったい何人ぐらい」と質問してきます。
「20人前後だと思います。途中で入れ替わっているので正確にはわかりません」
彼らは「ほー」と声をあげ「そんなにやって大丈夫なのかね、体は」と興味をかきたてられたようでした。
「セックスは」と私は彼らの間抜けな表情にイライラして、挑発的になっていました。「ヴァギナとお口とお尻の穴でしています」
業務報告。私はこんなことをしていました、と彼らに報告をするのです。
「大量にお浣腸をされて、それをみなさんの見ている前で排泄し、口にしたりもしました。叩かれたり、痛いことをされることもあります。いまも、乳首とクリトリスには金具が取り付けられて、痛くて仕方がありません。お尻の穴には大きな器具を押し込まれています」
「プライベートでやっている、ということかね?」
「違います」と私は少し震えながら答えました。「この会社のトイレでも、帰りの駅のトイレでも、公園でも、どこでも……」
すると倫理委員会の人たちがこそこそと話をしています。
「まずいねえ」
「けがらわしいですよ」
しばらく話をしています。
「風紀紊乱ですな。しかし、これまで無断欠勤などもないのです」
「これまではね。そうだな、これからは……」
ごちゃごちゃと話をしています。
「よろしい」と結論が出たようです。
「今日を含めて2週間以上、無断欠勤するんだろう?」
私には意味がわかりませんでした。
「永久に欠勤するんですよ」と課長。「永久に」
「わかった。では、これから2週間と1日、無断欠勤した時点で懲戒解雇処分とする。今日は風紀紊乱で厳重注意のために呼びだしたと記録しておこう。その場にもふざけた格好で出社し、追い出されたと」
まじめそうな彼らでしたが、私はただ「はい」と答えたとたん、ゲラゲラと笑いはじめました。
「二度と来るんじゃないぞ」
彼らは引き上げようとしました。
「待ってください。なんで2週間なんですか。いますぐ懲戒解雇してください!」
私は思わず叫んでいました。それは、この数日私の身に起きた大きな変化に対する心の叫びだったのでしょう。なにも会社に当たらなくてもいいのですが、たまたま爆発してしまったのです。
「なに? なにを言ってるんだね」
明らかに気分を害した人たち。
私は彼らに見せつけるように、陰部に指をあてました。
「私は、私は、こういう人間なんです」
乳首のリングを引っ張りならが、クリのリングに指をひっかけて、陰部を擦るのです。その痛がゆさに、思わずのけぞります。
「私、奈々恵はみなさまの肉便器として、どのような求めにも応じます。みなさまの欲望の捌け口として存分にお楽しみください。いつまで、どのようにお使いなるかはみなさまに委ねます」と、例の宣言を暗唱しながら。
「なにをやってるんだ!」と彼らは怒鳴ります。
部長と課長はニヤニヤしています。課長などは私のお尻を触っています。
美和がバッグから、肌色をした大きなディルドを取り出しました。それは末端が吸盤になっています。テーブルの上にそれを立てました。
「はあっ、ありがとう、ございます」
テーブルに這い上がると、しゃがむようにして、彼らに見せつけるように膣へとディルドをあてていきます。淫液があふれてシリコンのオモチャを濡らしていきます。
唖然としている人事の人たち。倫理委員会の人たち。その前で、亀頭部分を飲み込み、ゆっくりと深く体の中へ入れていきます。
「あふっ」
それは感じたからではなく、三号のペニスに傷つけられていた痛みが蘇ってきたからです。
その痛みを受け入れるためにも、より強く乳首を引っ張ります。痛みと痛みが重なると私はさらに狂ったように屈伸を繰り返します。
「ああっ、だ、だめえええ」
先にちょろちょろと尿が漏れ、やがてそれははしたない放水となって、仕事で使うはずのテーブルに大きな水たまりをつくっていきます。
「やめろ!」と彼らが怒鳴っています。
すると三号が私の服をイスの上に置き、まったく当然のことのようにテーブルに這い上がり、水たまりに口をつけて吸い上げていくのです。
不思議な気持ちになりました。
そこにいるのは正直、見も知らぬ男。どこの誰ともわからない人。確かに一晩ベランダで一緒につながってはいましたが、なんにも知らない人です。
それなのに、やっていることは、私にはよくわかるのです。他人の排泄物を大切そうにすすり、舐めていく。醜いその姿は、私そのものだからです。
映像の中の自分ではそこまで衝撃を受けませんでしたが、私のような行為をするその男の姿は、ここに連れてこられて再び持ち上がっていた自意識のようなものを完全に破壊してしまったのでした。
そのあとは、なにも聞こえず、見えなくなりました。
彼がテーブルをきれいにしたその舌でキスを迫ってきたときも素直に舌と舌で、唇と唇で受け入れました。彼がズボンから取り出した例の凶器のようなペニスに頬ずりし、舌を這わせました。
これが中に入ってくる痛みと灼熱感が、いまは欲しいのです。
彼が私の頭を両手で抱えるようにして激しく動かし、喉の奥までそれを突き入れると、舌や口内が傷ついて血が流れました。
こんなものが自分の体を引き裂くのです。
私はテーブルの上に這いつくばりました。そこは私の尿と彼の唾液の痕跡が残っていて、とても愛おしく、自然に舐め回していました。
「ぐあああああ」
獣のような声を上げました。
背後から彼が入ってきたからです。
「あんなものを入れたら」と誰かの声。
ですが、すでに一晩の経験で、私のヴァギナは彼の陰茎のカタチになっているのです。
激痛セックス。
そのいつ終るとも知れない交接。
血の涙を流しながら、私は下劣な悦楽に浸っていました。
「クビだ! すぐに解雇しろ!」
倫理委員会の人たちが叫んで部屋を出て行きました。
美和の冷たい目が、こんな私に向けられています。
このとき、気付いてしまったのです。
私とあなたを繋いでいた許諾の絆は、いまプッツリと切れてしまったのだと。
美和もそれを知ったに違いないし、どちらかが絆を切ったわけではありません。お互いに引きちぎったのです。
私は三号とつながったまま、這うようにして会社をあとにするのでした。会社を。職場を。そして過去の自分を、すべて置き去りにして。
★お読みいただき、ありがとうございます。あんぷらぐ(荒縄工房)です。「許諾ください」はいわばその第一部をここで完結とさせていただきます。このあと奈々恵の改造、家畜としての生活については、おいおいこの場で発表していければと考えています。それが第二部になるのか、短編となるのかは、まだ未定です。お楽しみに。

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